朔旦冬至 さくたんとうじ ~恋愛日和~
土曜日。
ついに,朔と食事に行く。
陽和はそう思って
緊張していた。
みんなと一緒・・・では
あるけれど・・・
それでも・・・。
少なくとも朔は
自分を誘ってくれた・・・。
そう・・少し
期待する気持ちを込めて,
陽和は待ち合わせ場所に
向かっていた。
普通だったら
晩御飯・・というところ
なのだろうが,
きっと由宇のことを
考えてランチにしたんだろう。
そう考えたであろう朔の
ことを思うと・・・
陽和は胸の中に温かいものが
広がる気がした。
朔の由宇への愛情は・・・
すごいなと感動させられる。
と同時に,きっと由宇と
生活し始めて,
朔は「まず由宇のこと」を
優先に考えてきたのだろうと
慮られる。
自分の子どもなら・・まあ
そうしないといけないの
だろうけれど・・・
そういう意識をもって
子育てをしている朔のことを
陽和はあらためて
尊敬していた。
「あ,ひーちゃーん。」
待ち合わせ場所に行くと
美咲が待っていた。
「あ,美咲ちゃん!」
陽和は美咲のところに
駆け寄った。
「わー,ひーちゃん。
・・・かわい・・・。」
美咲はクスクス笑いながら
陽和をまじまじと
上から下まで眺めた。
「え・・へ・・・
へん・・?」
陽和はスカートの裾を
ひっぱりながら
心配そうな顔をした。
「めっちゃかわいい!
いつもかわいいけど
数倍増しでかわいい!」
そういって美咲はにこりと
笑った。
陽和は,いろいろ迷った
挙句,結局ブラウスに
フレアスカートという
定番の格好にした。
「やっぱり,恋をすると
違うのかなあ。」
「え?恋!?
や・・・やだ・・・」
陽和は顔を赤らめて
頬を押さえた。
「あのお店。」
美咲は向かいにある
お店を指さした。
中に入ると,既に
朔と公ちゃんと由宇が
待っていた。
「あ,こっちこっち。」
美咲と陽和に手を振る。
朔はにこっと笑って
陽和のほうを見た。
陽和は耳まで真っ赤に
なりながらも・・・
挨拶をした。
「あ・・・こんにちは,
由宇くん。」
「ひよりせんせい
こんにちは。」
由宇はそう言って
おじぎした。
「公ちゃん・・・
久しぶり!」
「おう。」
公ちゃんは軽く手を挙げて
にっこり笑った。
「えっと・・朔ちゃん・・・
今日は・・・・
あ・・・ありがとう・・・。」
「う・・うん。
こちらこそ・・・
来てくれて・・・・
ありがとう。」
朔も顔を赤くしながら
照れくさそうにそういった。
男性陣は由宇を真ん中にして
左に朔,右に公ちゃんが座っていた。
美咲は公ちゃんの向かいに座り,
陽和は,朔の向かいに座った。
陽和は・・・あまりに
恥ずかしくて・・・
顔を上げることができなかった。
注文を終えると,公ちゃんと
美咲は昔話で盛り上がった。
朔はときどき話に入って
楽しそうに笑っていた。
美咲はときどき話を
陽和に振るけれど・・・
陽和はガチガチに緊張していて
話は上の空・・・だった。
「陽和?」
「あ・・・うん・・・。」
陽和は困り顔で美咲のほうを
向いている。
朔は戸惑っていた。
どう考えても,
朔を意識して緊張している
のだけれど・・・
朔自身は,陽和の気持ちを
図りかねていた。
もしかしたら陽和は・・・
今回無理に来てくれたけれど
実は・・嫌・・だったのか?
鈍感な朔には陽和の緊張する
気持ちは伝わっていなかった。
朔は不安げな表情をし始めていた。
陽和は相変わらず顔を
真っ赤にして下を向いたまま。
昔話で盛り上がっていた
美咲と公ちゃんも,
二人の様子に,どうしたら
いいかわからなくなってきていた。
食事は進み…
公ちゃんと美咲は
少し焦っていた。
せっかく場をセッティングしたのに,
このままじゃ,二人は
何の進展も望めそうにない。
ひそかに,公ちゃんと美咲は,
二人の雰囲気がよくなったところで,
由宇を連れてしばらく
席をはずそうと,
企んでいたのだ。
だけど…このままじゃ…。
そう二人が思い始めていたとき,
思わぬ人物がアシストをした…。
「ひよりせんせい?
ぐあい,わるいの?」
顔を赤らめたまま,
食事もいまいち
進んでいない陽和を見て,
由宇はそういった。
「え!?
ううん…だ,大丈夫よ?
ど,どうして?」
陽和はさらに顔を赤くして
否定した。
「だってひよりせんせい,
おねつがあるみたい。」
由宇の言葉に陽和は
目を丸くした。
同時に公ちゃんと美咲は
クスクスと笑った。
「大丈夫よ,由宇ちゃん。
陽和先生は緊張してる
だけだから。」
「み,美咲ちゃん!?」
陽和は更に沸騰しそうな
顔の紅潮を自身も感じていた。
「きんちょう?」
「そう。ドキドキしてるってこと。」
そういって美咲は
朔の方をちらりと見遣る。
鈍感な朔はそれを聞いて,
陽和が無口だった理由が
やっとわかり,
目を見開いて顔を赤らめた。
公ちゃんと美咲はそんな
2人の様子を見て,
初々しくてなんとも
可愛らしいな・・・と思う反面,
中学生じゃないんだから・・
とあまりに純朴な2人の様子に
半ばあきれていた。
「もう・・・美咲ちゃん・・。」
陽和は泣きそうな顔で
美咲を見た。
美咲は少し悩んで席を外した。
陽和はますます
どうしていいかわからず
公ちゃんに助けを求める
顔をした。
公ちゃんは公ちゃんでこの
緊張した雰囲気をどう
和ませればいいか・・・と
頭を悩ませていた。
ついに,朔と食事に行く。
陽和はそう思って
緊張していた。
みんなと一緒・・・では
あるけれど・・・
それでも・・・。
少なくとも朔は
自分を誘ってくれた・・・。
そう・・少し
期待する気持ちを込めて,
陽和は待ち合わせ場所に
向かっていた。
普通だったら
晩御飯・・というところ
なのだろうが,
きっと由宇のことを
考えてランチにしたんだろう。
そう考えたであろう朔の
ことを思うと・・・
陽和は胸の中に温かいものが
広がる気がした。
朔の由宇への愛情は・・・
すごいなと感動させられる。
と同時に,きっと由宇と
生活し始めて,
朔は「まず由宇のこと」を
優先に考えてきたのだろうと
慮られる。
自分の子どもなら・・まあ
そうしないといけないの
だろうけれど・・・
そういう意識をもって
子育てをしている朔のことを
陽和はあらためて
尊敬していた。
「あ,ひーちゃーん。」
待ち合わせ場所に行くと
美咲が待っていた。
「あ,美咲ちゃん!」
陽和は美咲のところに
駆け寄った。
「わー,ひーちゃん。
・・・かわい・・・。」
美咲はクスクス笑いながら
陽和をまじまじと
上から下まで眺めた。
「え・・へ・・・
へん・・?」
陽和はスカートの裾を
ひっぱりながら
心配そうな顔をした。
「めっちゃかわいい!
いつもかわいいけど
数倍増しでかわいい!」
そういって美咲はにこりと
笑った。
陽和は,いろいろ迷った
挙句,結局ブラウスに
フレアスカートという
定番の格好にした。
「やっぱり,恋をすると
違うのかなあ。」
「え?恋!?
や・・・やだ・・・」
陽和は顔を赤らめて
頬を押さえた。
「あのお店。」
美咲は向かいにある
お店を指さした。
中に入ると,既に
朔と公ちゃんと由宇が
待っていた。
「あ,こっちこっち。」
美咲と陽和に手を振る。
朔はにこっと笑って
陽和のほうを見た。
陽和は耳まで真っ赤に
なりながらも・・・
挨拶をした。
「あ・・・こんにちは,
由宇くん。」
「ひよりせんせい
こんにちは。」
由宇はそう言って
おじぎした。
「公ちゃん・・・
久しぶり!」
「おう。」
公ちゃんは軽く手を挙げて
にっこり笑った。
「えっと・・朔ちゃん・・・
今日は・・・・
あ・・・ありがとう・・・。」
「う・・うん。
こちらこそ・・・
来てくれて・・・・
ありがとう。」
朔も顔を赤くしながら
照れくさそうにそういった。
男性陣は由宇を真ん中にして
左に朔,右に公ちゃんが座っていた。
美咲は公ちゃんの向かいに座り,
陽和は,朔の向かいに座った。
陽和は・・・あまりに
恥ずかしくて・・・
顔を上げることができなかった。
注文を終えると,公ちゃんと
美咲は昔話で盛り上がった。
朔はときどき話に入って
楽しそうに笑っていた。
美咲はときどき話を
陽和に振るけれど・・・
陽和はガチガチに緊張していて
話は上の空・・・だった。
「陽和?」
「あ・・・うん・・・。」
陽和は困り顔で美咲のほうを
向いている。
朔は戸惑っていた。
どう考えても,
朔を意識して緊張している
のだけれど・・・
朔自身は,陽和の気持ちを
図りかねていた。
もしかしたら陽和は・・・
今回無理に来てくれたけれど
実は・・嫌・・だったのか?
鈍感な朔には陽和の緊張する
気持ちは伝わっていなかった。
朔は不安げな表情をし始めていた。
陽和は相変わらず顔を
真っ赤にして下を向いたまま。
昔話で盛り上がっていた
美咲と公ちゃんも,
二人の様子に,どうしたら
いいかわからなくなってきていた。
食事は進み…
公ちゃんと美咲は
少し焦っていた。
せっかく場をセッティングしたのに,
このままじゃ,二人は
何の進展も望めそうにない。
ひそかに,公ちゃんと美咲は,
二人の雰囲気がよくなったところで,
由宇を連れてしばらく
席をはずそうと,
企んでいたのだ。
だけど…このままじゃ…。
そう二人が思い始めていたとき,
思わぬ人物がアシストをした…。
「ひよりせんせい?
ぐあい,わるいの?」
顔を赤らめたまま,
食事もいまいち
進んでいない陽和を見て,
由宇はそういった。
「え!?
ううん…だ,大丈夫よ?
ど,どうして?」
陽和はさらに顔を赤くして
否定した。
「だってひよりせんせい,
おねつがあるみたい。」
由宇の言葉に陽和は
目を丸くした。
同時に公ちゃんと美咲は
クスクスと笑った。
「大丈夫よ,由宇ちゃん。
陽和先生は緊張してる
だけだから。」
「み,美咲ちゃん!?」
陽和は更に沸騰しそうな
顔の紅潮を自身も感じていた。
「きんちょう?」
「そう。ドキドキしてるってこと。」
そういって美咲は
朔の方をちらりと見遣る。
鈍感な朔はそれを聞いて,
陽和が無口だった理由が
やっとわかり,
目を見開いて顔を赤らめた。
公ちゃんと美咲はそんな
2人の様子を見て,
初々しくてなんとも
可愛らしいな・・・と思う反面,
中学生じゃないんだから・・
とあまりに純朴な2人の様子に
半ばあきれていた。
「もう・・・美咲ちゃん・・。」
陽和は泣きそうな顔で
美咲を見た。
美咲は少し悩んで席を外した。
陽和はますます
どうしていいかわからず
公ちゃんに助けを求める
顔をした。
公ちゃんは公ちゃんでこの
緊張した雰囲気をどう
和ませればいいか・・・と
頭を悩ませていた。