朔旦冬至 さくたんとうじ ~恋愛日和~
ほどなくして,3人は,
席を立った。
由宇は6時に家に
送り届ける・・と
公ちゃんは言った。
6時まで・・・あと
4時間半。
2人で残された陽和と朔は
緊張感もありつつ・・
少し覚悟を決めて・・・
話をし始めた。
「陽和・・・今日来てくれて
ありがとう・・な。」
「・・あ・・・うん。」
まるで,今来たかのような
会話に陽和は苦笑いした。
「あ・・なんか飲む?」
「あ・・うん。」
食後に朔はコーヒー,
陽和はカフェオレを頼んだ。
朔は,ゆっくりと
カフェオレを飲む
陽和をじっと見つめ,
顔を赤らめた。
・・・かわいい・・な・・
やっぱ・・・。
見つめられていることに
気が付いた陽和は
ちょっと俯いて
恥ずかしそうな顔をする。
その様子も・・かわいくて。
朔は・・・
胸が苦しくなった。
「あの・・・し・・・
仕事・・・楽しい?」
何か話さなきゃ,と
意気込んだ朔から出てきたのは
唐突な・・そんな言葉だった。
「あ・・・うん。」
陽和はにこっと笑って
そう答えた。
「俺さあ,小学生の時の
大人しい陽和・・・の
イメージが強くて。
保育士さんって
ちょっと・・驚いたよ。」
「・・そ・・・そう・・?」
「ああ・・・。
でもさ,いつだったか,
同窓会に行ったときに,
陽和は来てなくて。
で,保育の学校に
行ってるって聞いて。」
「あ・・・そう・・だったんだ。」
「うん。
でも,中・高のときの
陽和を知ってるみんなは,
『陽和にぴったりだ』って
言ってた。」
「え・・・そ・・そう・・なの。」
「うん。
だから・・・俺・・・
そのときから・・・
ずっと思ってたんだ・・・。
大人になった陽和に・・・
会ってみたいなって・・・。」
「・・・そ・・そっか・・。」
「うん。」
二人は顔を赤らめながら
一口ずつ飲み物を飲む。
「で・・・
由宇の持って帰った
『園だより』に
陽和の名前を見つけて・・・
ちょっと・・・
テンション上がった・・・。」
「あ・・・ふふ・・。」
朔のその言い方が可笑しくて
陽和はちょっと笑った。
「そして・・・
保育士として働いている
陽和を見て・・・
納得した。
みんなが言ってたこと。」
「え?」
「あの頃と・・・
小学生のころと・・・
変わったのか・・・
変わっていないのか・・・
それはよくわからないけど。
保育士として働いてる
陽和は・・・かっこいいよ。」
「え・・・。」
「頑張ってるな・・・陽和。
俺も見習わなきゃって
・・・そう思った。」
「・・・・。」
陽和は・・心の底から
うれしくて・・・
じわっと温かくなるのを
感じた。
そして・・・気が付くと,
熱いものが・・頬を
流れていた。
「・・・陽和?」
陽和はずっと・・・
朔に「頑張ってるな」と
言ってもらいたくて
これまで・・・頑張ってきたのだ。
ふいに・・そんなことを
言われたら・・・
そうなってしまうのも仕方ない。
「え?え?ど・・・
どした・・?陽和?」
朔はそんなことを知る由も
なく,慌てふためいていた。
「ごめん,俺,
何か・・・・・?」
そういってアワアワとしている
朔に陽和は大きく首を振る。
違うの。
と陽和は言いたかったけど
あまりに涙があふれてきて
何も言えなくなってしまった。
しばらく泣きじゃくる陽和に
朔は困惑した。
落ち着いてきた陽和は・・・
ただただ・・
「ありがとう」
と繰り返していた。
「ひよ・・り?」
「・・・ありがと・・
朔ちゃん・・・
うれし・・・かった。」
「・・・う・・うん。」
朔は理由はわからなかったけど,
泣きながら笑う陽和の顔を見て
また胸をキュンとさせていた。
「朔ちゃんの仕事は・・・
なんか・・・イメージ通り・・
だね・・・。」
「え?・・そうか?」
朔はどうして陽和が自分の
仕事を知っているのかは
よくわからなかったけど,
それでもそういわれて
悪い気はしなかった。
「昔から・・・
スポーツ・・得意だったしね。」
「ああ。まあな。」
「サッカー・・・
上手だったよね。」
「あ・・まあ,
覚えててくれたの?」
「・・・うん。
朔ちゃんがサッカーしてるの
教室から見てるの
好きだったな・・・。」
そうつぶやいた陽和に
朔は顔を赤らめた。
別に「朔のことが好き」と
いったわけじゃない。
だけど・・・
小学生のころ,陽和は
そんな風に,教室から
自分のことを見ていたのだと
初めて知ったのだ・・・。
「あ・・・。」
陽和はそんな告白を
してしまったことに気づき
また顔を赤らめた。
「サッカーはさ・・・
大学のころまでやってたよ。」
「そう・・・なんだ。
見て・・・みたかったな。」
「ああ・・見に来て・・
ほしかった・・・な。」
顔を赤らめて二人で笑った。
「あ,でも。
今はちょっと休んでるけど,
就職してからもフットサル,
ちょこっとやってるよ。」
「そうなんだあ・・・
見に行ってみたいな・・・。」
「あ・・・え・・
まじ・・で?」
「あ・・・あ・・・。」
それって完全にデートプラン
だなと思った二人は
思いっきり照れてしまって・・・。
その話は・・・
そこから進めることができなかった。
ランチが中心のこのお店は,
すっかり人が少なくなっていた。
「あ・・そろそろ・・・
出ようか?」
朔はそう言い,陽和は
頷いた。
席を立った。
由宇は6時に家に
送り届ける・・と
公ちゃんは言った。
6時まで・・・あと
4時間半。
2人で残された陽和と朔は
緊張感もありつつ・・
少し覚悟を決めて・・・
話をし始めた。
「陽和・・・今日来てくれて
ありがとう・・な。」
「・・あ・・・うん。」
まるで,今来たかのような
会話に陽和は苦笑いした。
「あ・・なんか飲む?」
「あ・・うん。」
食後に朔はコーヒー,
陽和はカフェオレを頼んだ。
朔は,ゆっくりと
カフェオレを飲む
陽和をじっと見つめ,
顔を赤らめた。
・・・かわいい・・な・・
やっぱ・・・。
見つめられていることに
気が付いた陽和は
ちょっと俯いて
恥ずかしそうな顔をする。
その様子も・・かわいくて。
朔は・・・
胸が苦しくなった。
「あの・・・し・・・
仕事・・・楽しい?」
何か話さなきゃ,と
意気込んだ朔から出てきたのは
唐突な・・そんな言葉だった。
「あ・・・うん。」
陽和はにこっと笑って
そう答えた。
「俺さあ,小学生の時の
大人しい陽和・・・の
イメージが強くて。
保育士さんって
ちょっと・・驚いたよ。」
「・・そ・・・そう・・?」
「ああ・・・。
でもさ,いつだったか,
同窓会に行ったときに,
陽和は来てなくて。
で,保育の学校に
行ってるって聞いて。」
「あ・・・そう・・だったんだ。」
「うん。
でも,中・高のときの
陽和を知ってるみんなは,
『陽和にぴったりだ』って
言ってた。」
「え・・・そ・・そう・・なの。」
「うん。
だから・・・俺・・・
そのときから・・・
ずっと思ってたんだ・・・。
大人になった陽和に・・・
会ってみたいなって・・・。」
「・・・そ・・そっか・・。」
「うん。」
二人は顔を赤らめながら
一口ずつ飲み物を飲む。
「で・・・
由宇の持って帰った
『園だより』に
陽和の名前を見つけて・・・
ちょっと・・・
テンション上がった・・・。」
「あ・・・ふふ・・。」
朔のその言い方が可笑しくて
陽和はちょっと笑った。
「そして・・・
保育士として働いている
陽和を見て・・・
納得した。
みんなが言ってたこと。」
「え?」
「あの頃と・・・
小学生のころと・・・
変わったのか・・・
変わっていないのか・・・
それはよくわからないけど。
保育士として働いてる
陽和は・・・かっこいいよ。」
「え・・・。」
「頑張ってるな・・・陽和。
俺も見習わなきゃって
・・・そう思った。」
「・・・・。」
陽和は・・心の底から
うれしくて・・・
じわっと温かくなるのを
感じた。
そして・・・気が付くと,
熱いものが・・頬を
流れていた。
「・・・陽和?」
陽和はずっと・・・
朔に「頑張ってるな」と
言ってもらいたくて
これまで・・・頑張ってきたのだ。
ふいに・・そんなことを
言われたら・・・
そうなってしまうのも仕方ない。
「え?え?ど・・・
どした・・?陽和?」
朔はそんなことを知る由も
なく,慌てふためいていた。
「ごめん,俺,
何か・・・・・?」
そういってアワアワとしている
朔に陽和は大きく首を振る。
違うの。
と陽和は言いたかったけど
あまりに涙があふれてきて
何も言えなくなってしまった。
しばらく泣きじゃくる陽和に
朔は困惑した。
落ち着いてきた陽和は・・・
ただただ・・
「ありがとう」
と繰り返していた。
「ひよ・・り?」
「・・・ありがと・・
朔ちゃん・・・
うれし・・・かった。」
「・・・う・・うん。」
朔は理由はわからなかったけど,
泣きながら笑う陽和の顔を見て
また胸をキュンとさせていた。
「朔ちゃんの仕事は・・・
なんか・・・イメージ通り・・
だね・・・。」
「え?・・そうか?」
朔はどうして陽和が自分の
仕事を知っているのかは
よくわからなかったけど,
それでもそういわれて
悪い気はしなかった。
「昔から・・・
スポーツ・・得意だったしね。」
「ああ。まあな。」
「サッカー・・・
上手だったよね。」
「あ・・まあ,
覚えててくれたの?」
「・・・うん。
朔ちゃんがサッカーしてるの
教室から見てるの
好きだったな・・・。」
そうつぶやいた陽和に
朔は顔を赤らめた。
別に「朔のことが好き」と
いったわけじゃない。
だけど・・・
小学生のころ,陽和は
そんな風に,教室から
自分のことを見ていたのだと
初めて知ったのだ・・・。
「あ・・・。」
陽和はそんな告白を
してしまったことに気づき
また顔を赤らめた。
「サッカーはさ・・・
大学のころまでやってたよ。」
「そう・・・なんだ。
見て・・・みたかったな。」
「ああ・・見に来て・・
ほしかった・・・な。」
顔を赤らめて二人で笑った。
「あ,でも。
今はちょっと休んでるけど,
就職してからもフットサル,
ちょこっとやってるよ。」
「そうなんだあ・・・
見に行ってみたいな・・・。」
「あ・・・え・・
まじ・・で?」
「あ・・・あ・・・。」
それって完全にデートプラン
だなと思った二人は
思いっきり照れてしまって・・・。
その話は・・・
そこから進めることができなかった。
ランチが中心のこのお店は,
すっかり人が少なくなっていた。
「あ・・そろそろ・・・
出ようか?」
朔はそう言い,陽和は
頷いた。