朔旦冬至 さくたんとうじ ~恋愛日和~
駐車場まで来て,
朔は運転席のドアを
開けかけてハッとした。
「あ、いけね…。
ごめん。
こういうこと,慣れてなくて…。」
陽和はすぐには意味が
わからなかった。
だけど・・・
慌てて,助手席側に回ってきて,
ドアを開ける朔に・・・
やっと朔が言ったことの
意味が分かった。
「あ・・あ・・
い・・いいのに・・・そんな。」
陽和はそっと助手席のドアを
開けてくれた朔に頭を下げながら
車に乗り込んだ。
「・・・あ・・ありがとう・・
大丈夫・・・私も・・・
慣れて・・・ないから・・・。」
「え・・・?」
朔はそう言われたとき,
この間の光景が頭をよぎった。
・・・そういえば,あのときは,
自分でドアを開けて
乗り込んでたなあ・・・。
あの男とは・・・そんな
遠慮するような関係に
もうないって・・・ことか・・?
どこまでも鈍感な朔は
そんな風にマイナス思考に
とらえていた。
朔は車を走らせる。
後ろの席には,由宇のための
チャイルドシートが置いてあった。
明らかにファミリーカーである
朔の車は,なんだか
乗り心地がよかった。
陽和はそっと運転中の
朔の横顔を見つめる。
・・・あ・・だめだ・・
朔ちゃん・・・
・・・かっこいいな。
柔らかく笑う朔の横顔は
陽和を虜にする。
陽和は不思議な気持ちだった。
ずっと夢に見ていた朔との
再会から・・・
あっという間に・・・自分は
朔の助手席にいる。
こんな風に2人で・・・
あ・・由宇ちゃんも入れて
3人だけど・・
食事に出かけるようになるなんて
思いもよらなかったな・・・。
陽和はそう思いながら,
じっと朔の横顔を見つめた。
信号待ちになり,朔は
ふと横目で陽和のほうを見ると
陽和は自分の方をじっと
見つめていることに気付く。
悟られまいと取り繕ってみるけれど
どんどん顔が紅潮する。
「・・そんなに見つめられたら
照れる・・な・・・。」
そういって照れ笑いを浮かべた
朔に陽和も顔を赤くする。
そのまま・・・
何を話していいやら
戸惑いながら,陽和の住む町へと
車は進んでいった。
「あ・・・次の角を左に・・・。」
「あ・・・えっと・・・
い・・家の前まで
送っても大丈夫?」
今になって朔は
ちょっと・・・強引だったかなと
思い始めていた。
陽和を家に送っていくということは
陽和の家を知るということと
イコールなわけで・・・。
本当にいいのかなと・・
超草食系の朔は
迷い始めていた。
「あ・・・え・・・?
あ・・・う・・うん。
さ・・朔ちゃんさえ・・・
よければ・・・。」
そういってちらっと朔の方を見ると
朔はさらに顔を赤らめた。
・・それって・・・
ど・・どういう・・?
朔は慣れないシチュエーションに
その意味を頭の中で
グルグルと考えていた。
「あ・・こ・・このアパート。」
陽和が指をさしたのは,
小奇麗なワンルームのアパートだった。
「あ・・・うん。」
駐車場に車を止める。
とりあえず,朔も降りて
陽和に挨拶をする。
「あ・・今日は・・
本当にありがとう。」
「ううん・・・こ・・・
こちらこそ・・・・。
家まで送ってもらって・・・。」
「あ・・え・・あ・・
えっと・・・・
お・・おやすみ・・・。」
「あ・・・お・・・
おやすみなさい。」
朔はニコッと笑って
手を振り,車に乗ろうとした。
陽和はその様子をじっと見つめて
・・・胸の前でキュッと
こぶしを握った。
・・・だめ・・・私。
このまま・・・今日を
終わらせてしまったら・・・
きっとまた・・・・
次まで・・・勇気が・・・
出ない・・・。
ちゃんと・・・
ちゃんと・・思いを・・・
伝えよう。
せめて・・・
これまでの・・・思いだけは・・・。
陽和は思い出していた。
あのとき・・・
朔が自分に思いを告げて
くれたのに・・・
何も返事ができなかった
勇気のない自分を・・・。
そのときに・・・
決めたんだ・・・。
今度・・朔に会ったら・・・
あのときのこと・・
ちゃんと謝って・・・
自分も好きだったって・・・
ちゃんと・・・
伝えるって。
ドアを開けようとする朔を
陽和は,
ありったけの大きな声で・・・
・・・呼び止めた。
朔は運転席のドアを
開けかけてハッとした。
「あ、いけね…。
ごめん。
こういうこと,慣れてなくて…。」
陽和はすぐには意味が
わからなかった。
だけど・・・
慌てて,助手席側に回ってきて,
ドアを開ける朔に・・・
やっと朔が言ったことの
意味が分かった。
「あ・・あ・・
い・・いいのに・・・そんな。」
陽和はそっと助手席のドアを
開けてくれた朔に頭を下げながら
車に乗り込んだ。
「・・・あ・・ありがとう・・
大丈夫・・・私も・・・
慣れて・・・ないから・・・。」
「え・・・?」
朔はそう言われたとき,
この間の光景が頭をよぎった。
・・・そういえば,あのときは,
自分でドアを開けて
乗り込んでたなあ・・・。
あの男とは・・・そんな
遠慮するような関係に
もうないって・・・ことか・・?
どこまでも鈍感な朔は
そんな風にマイナス思考に
とらえていた。
朔は車を走らせる。
後ろの席には,由宇のための
チャイルドシートが置いてあった。
明らかにファミリーカーである
朔の車は,なんだか
乗り心地がよかった。
陽和はそっと運転中の
朔の横顔を見つめる。
・・・あ・・だめだ・・
朔ちゃん・・・
・・・かっこいいな。
柔らかく笑う朔の横顔は
陽和を虜にする。
陽和は不思議な気持ちだった。
ずっと夢に見ていた朔との
再会から・・・
あっという間に・・・自分は
朔の助手席にいる。
こんな風に2人で・・・
あ・・由宇ちゃんも入れて
3人だけど・・
食事に出かけるようになるなんて
思いもよらなかったな・・・。
陽和はそう思いながら,
じっと朔の横顔を見つめた。
信号待ちになり,朔は
ふと横目で陽和のほうを見ると
陽和は自分の方をじっと
見つめていることに気付く。
悟られまいと取り繕ってみるけれど
どんどん顔が紅潮する。
「・・そんなに見つめられたら
照れる・・な・・・。」
そういって照れ笑いを浮かべた
朔に陽和も顔を赤くする。
そのまま・・・
何を話していいやら
戸惑いながら,陽和の住む町へと
車は進んでいった。
「あ・・・次の角を左に・・・。」
「あ・・・えっと・・・
い・・家の前まで
送っても大丈夫?」
今になって朔は
ちょっと・・・強引だったかなと
思い始めていた。
陽和を家に送っていくということは
陽和の家を知るということと
イコールなわけで・・・。
本当にいいのかなと・・
超草食系の朔は
迷い始めていた。
「あ・・・え・・・?
あ・・・う・・うん。
さ・・朔ちゃんさえ・・・
よければ・・・。」
そういってちらっと朔の方を見ると
朔はさらに顔を赤らめた。
・・それって・・・
ど・・どういう・・?
朔は慣れないシチュエーションに
その意味を頭の中で
グルグルと考えていた。
「あ・・こ・・このアパート。」
陽和が指をさしたのは,
小奇麗なワンルームのアパートだった。
「あ・・・うん。」
駐車場に車を止める。
とりあえず,朔も降りて
陽和に挨拶をする。
「あ・・今日は・・
本当にありがとう。」
「ううん・・・こ・・・
こちらこそ・・・・。
家まで送ってもらって・・・。」
「あ・・え・・あ・・
えっと・・・・
お・・おやすみ・・・。」
「あ・・・お・・・
おやすみなさい。」
朔はニコッと笑って
手を振り,車に乗ろうとした。
陽和はその様子をじっと見つめて
・・・胸の前でキュッと
こぶしを握った。
・・・だめ・・・私。
このまま・・・今日を
終わらせてしまったら・・・
きっとまた・・・・
次まで・・・勇気が・・・
出ない・・・。
ちゃんと・・・
ちゃんと・・思いを・・・
伝えよう。
せめて・・・
これまでの・・・思いだけは・・・。
陽和は思い出していた。
あのとき・・・
朔が自分に思いを告げて
くれたのに・・・
何も返事ができなかった
勇気のない自分を・・・。
そのときに・・・
決めたんだ・・・。
今度・・朔に会ったら・・・
あのときのこと・・
ちゃんと謝って・・・
自分も好きだったって・・・
ちゃんと・・・
伝えるって。
ドアを開けようとする朔を
陽和は,
ありったけの大きな声で・・・
・・・呼び止めた。