朔旦冬至 さくたんとうじ ~恋愛日和~
朔は,さっきの陽和の言葉を
飲み込むのに時間が
かかっていた。

信じられなかったのだ・・・


自分が恋い焦がれていた
陽和に・・・
まさか・・・告白されるなんて。





しかも・・・あの・・

奥手の・・・陽和に。









「わ・・・わ・・・・。

 ど・・どうしよ・・・俺。」













朔は情けない声を出しつつ・・
落ち着かない気持ちのまま
車に乗り込んだ。



エンジンをかけて
少し落ち着きを取り戻した朔は
とりあえず,由宇の待つ
自宅へ戻ることにした。









家に着くと,
由宇は疲れたのか,
すっかり寝入っていた。

「ただいま。由宇。」

そういいながら由宇の頭を
そっとなでる。

そうすると・・・
さっき陽和の頭を撫でた
感覚が蘇る。


朔は顔を赤らめながら
さっきの陽和の表情や言葉を
思い出していた。


 わ・・・俺・・・

 ど・・どうしたら・・・



 なあ・・・陽和・・・?







朔は複雑な気持ちで
心がパニックを起こしていた。



 陽和が自分のことを好きだと
 言ってくれた。

 これから・・・陽和と
 恋を始められるのか・・な・・?


 でも・・まずは
 自分の気持ちを伝えなきゃ。


 あ・・・でも
 陽和は・・・きっと
 勘違いしてるよな。

 あんなこと言って
 立ち去っちゃって・・・・。

 ホント・・・不器用だよな・・

 まあ・・人のこと言えないけれど・・。


 それにしても・・驚いた。

 まさか・・陽和から
 そんなこと言ってもらえるなんて。

朔はそう思うと少々
自分が情けなくもあった。


 陽和に・・・先を
 越されちゃったな・・・。

 だけど・・・・
 すごいな・・陽和。

 やっぱり・・・強く・・・
 なったんだな・・・。


 昔の「弱くて・・・
 守ってあげたい」陽和も
 大好きだったけれど・・・

 今の・・・
 やわらかい中にも芯が強くて
 凛とした陽和のことが・・・

 大好きだ・・・。



 俺は自信が・・・ある。

 昔よりももっともっと・・
 今の陽和のことが
 好きだって。



 間違いなく陽和に
 二度目の恋をしたんだ。





 そして・・・
 今度こそ・・・。

 ちゃんと・・・
 二人で・・・

 恋がしたい。



< 78 / 154 >

この作品をシェア

pagetop