朔旦冬至 さくたんとうじ ~恋愛日和~
「え!?
 まあ,そう!
 よかったじゃない。」

週明け。

金曜日の出来事を中村先生に
伝えると,先生は
うれしそうにそう言った。

「で,付き合うことに
 なったのね?」


「あ・・・いや・・・
 それが・・・・。」


実は,陽和に告白されたものの
返事ができていないということを
伝えると,中村先生は
がっかりした声で言った。

「はあ・・・。
 もう・・そこまで・・・
 だとは・・・思わなかったわ。」


「・・・・。」

朔はバツが悪そうな顔をする。

「あのねえ・・朔ちゃん。

 女の子が・・・
 しかも相手はあの陽和ちゃんよ?

 陽和ちゃんが告白するなんて
 どれだけの勇気がいったか,

 朔ちゃんだってわかってるんでしょ?」


「・・・は・・・い。」


「とにかく。
 早く・・・連絡とって
 会って・・・話をしなきゃ!

 陽和ちゃんのことだから
 変に誤解しちゃってるかも
 しれないじゃない?」


「・・・・。」

中村先生の言う通りだった。

そう・・・そうするしかないのだ。

そんなことは朔にだって
わかっていた。

だけど・・・
連絡する勇気が出ない。



あの後,朔はなんて
連絡したらいいかわからず・・

携帯を握りしめて連絡を
とろうとするものの・・・
どういう言葉を紡いでいいものやら
途方に暮れていた。

その日は,朝も夕方も・・・
朔は陽和の顔を見ることが
できなかった・・・。

怖くて・・・
見られなかった・・・。



しかし・・・
陽和はそのことで・・・

自分の思いは・・・
届かなかったことを
確信していた。
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