朔旦冬至 さくたんとうじ ~恋愛日和~
朔は中村先生に渡された
勝手口のカギをそっと閉める。
鍵をポケットに入れると・・
朔の手は再び・・・
陽和の手を捉えた。
「・・・。」
陽和は頬を熱くして
朔を見上げる。
朔は・・・にやけそうになるのを
ぐっと我慢して,
陽和のほうを見つめる。
「・・・行きますか?」
「・・・はい。」
季節は春から夏へと移り変わるとき。
空はうすくかすんでいたものの
今夜は満月。
外は夜にしては明るく輝く。
「・・今日は・・
満月・・・かあ・・・。」
「・・・そう・・・だね・・・。」
照れている表情を見られるのが
恥ずかしくて・・・
もう少し・・月が・・・
明るくなければいいのにと
陽和は思っていた。
それでも月夜に映える
朔の横顔をちらりとみると
・・・満月でよかったのかもとも
思う。
ぎこちなく繋ぐ手に熱を感じる。
お互い緊張しているのが
伝わってくる。
それでも・・・
そこからは・・・幸せしか
感じなくて・・・・。
陽和の目からは,また・・・
涙がこぼれていた。
「・・・陽和?」
俯く陽和に,朔は心配そうに
声をかける。
「・・どうしたの?」
「・・・・う・・ううん・・・。」
陽和は・・・
涙をポロポロと落としながら
答える。
「・・・大丈夫か・・?
まだ・・具合が・・・?」
そう心配して焦る朔に
陽和は・・・可笑しくて・・・
でも・・・何とも言えない
幸せな気持ちになった。
「ううん・・・。
ちが・・うの・・・。
・・・あの・・・
ゆ・・夢・・・・
みたい・・だなって・・・。」
「え?」
「・・・こんな風に・・・
朔ちゃんと・・・
手をつないで歩けるなんて・・
夢にも思わなか・・った・・・。」
「・・・陽和。」
朔は・・・また
抱きしめてしまいたくなる
衝動を抑えながら
そっと陽和の頭を撫でた。
「俺も・・・夢みたい。
こんな風に陽和と・・・
一緒に歩けるなんて。
でも・・・
夢じゃ・・・ないよな?
陽和と・・俺・・・
こ・・・恋人・・・で
・・いいんだよ・・な?」
陽和は・・・
心臓がドクンと鳴るのを
感じた。
・・・恋人・・・
・・なんだよね・・・。
陽和はゆっくりと
頷いて・・・朔のほうを
涙目で見つめた。
朔はその美しい表情に
息をのんだ。
朔は陽和と向かい合い・・
両方の手を握った。
陽和は恥ずかしくて
視線を落とす。
「陽和・・・
こっち向いて・・・?」
朔はやさしくそういう。
陽和はそっと顔をあげ
朔を見上げた。
「陽和・・・
俺・・陽和のこと
今までいっぱい傷つけてきた。
俺が・・・気が付かない
ところでもきっと
いろいろ・・・
それに・・・もしかしたら
鈍感な俺だから・・・
陽和を傷つけちゃうことが
あるかも・・・しれない。
・・・だけど・・・
それ以上に・・・
陽和のこと・・・
大切に大切にするから。
ずっと・・・
あ・・・・・
愛していくから・・・。」
そういった朔は
照れ笑いを浮かべた。
陽和は・・・
朔のその大きな大きな愛に
また・・涙が止まらなかった。
朔はまた,ポンポンと
陽和の頭をなでた。
「行こうか?」
陽和はコクリとうなずいた。
朔は繋いでいる手に少しだけ
力を込めて・・・
二人はまた・・・歩き始めた。
由宇たちが待っている店の
前についた。
「陽和・・・
もう・・・大丈夫・・?」
「・・・うん。」
優しく問いかける朔に
陽和は柔らかい笑顔を返した。
「・・・あの・・・
朔ちゃん?」
「ん?」
「・・あ・・・
ありがとう・・・。」
「ん?え・・・あ・・
お・・・俺こそ・・・
ありがとう。」
何が・・・なんて
具体的なことは言わない
けれど・・・
二人はお互いの表情で
・・・全て伝わっていた。
あれだけ・・・
お互いの気持ちが
見えなくて見えなくて
苦しんできたのに・・・
こうやってお互いの気持ちが
わかった今なら・・・
素直に・・・感じることが
できる。
不思議だなと・・・
朔も陽和も・・・思った。
勝手口のカギをそっと閉める。
鍵をポケットに入れると・・
朔の手は再び・・・
陽和の手を捉えた。
「・・・。」
陽和は頬を熱くして
朔を見上げる。
朔は・・・にやけそうになるのを
ぐっと我慢して,
陽和のほうを見つめる。
「・・・行きますか?」
「・・・はい。」
季節は春から夏へと移り変わるとき。
空はうすくかすんでいたものの
今夜は満月。
外は夜にしては明るく輝く。
「・・今日は・・
満月・・・かあ・・・。」
「・・・そう・・・だね・・・。」
照れている表情を見られるのが
恥ずかしくて・・・
もう少し・・月が・・・
明るくなければいいのにと
陽和は思っていた。
それでも月夜に映える
朔の横顔をちらりとみると
・・・満月でよかったのかもとも
思う。
ぎこちなく繋ぐ手に熱を感じる。
お互い緊張しているのが
伝わってくる。
それでも・・・
そこからは・・・幸せしか
感じなくて・・・・。
陽和の目からは,また・・・
涙がこぼれていた。
「・・・陽和?」
俯く陽和に,朔は心配そうに
声をかける。
「・・どうしたの?」
「・・・・う・・ううん・・・。」
陽和は・・・
涙をポロポロと落としながら
答える。
「・・・大丈夫か・・?
まだ・・具合が・・・?」
そう心配して焦る朔に
陽和は・・・可笑しくて・・・
でも・・・何とも言えない
幸せな気持ちになった。
「ううん・・・。
ちが・・うの・・・。
・・・あの・・・
ゆ・・夢・・・・
みたい・・だなって・・・。」
「え?」
「・・・こんな風に・・・
朔ちゃんと・・・
手をつないで歩けるなんて・・
夢にも思わなか・・った・・・。」
「・・・陽和。」
朔は・・・また
抱きしめてしまいたくなる
衝動を抑えながら
そっと陽和の頭を撫でた。
「俺も・・・夢みたい。
こんな風に陽和と・・・
一緒に歩けるなんて。
でも・・・
夢じゃ・・・ないよな?
陽和と・・俺・・・
こ・・・恋人・・・で
・・いいんだよ・・な?」
陽和は・・・
心臓がドクンと鳴るのを
感じた。
・・・恋人・・・
・・なんだよね・・・。
陽和はゆっくりと
頷いて・・・朔のほうを
涙目で見つめた。
朔はその美しい表情に
息をのんだ。
朔は陽和と向かい合い・・
両方の手を握った。
陽和は恥ずかしくて
視線を落とす。
「陽和・・・
こっち向いて・・・?」
朔はやさしくそういう。
陽和はそっと顔をあげ
朔を見上げた。
「陽和・・・
俺・・陽和のこと
今までいっぱい傷つけてきた。
俺が・・・気が付かない
ところでもきっと
いろいろ・・・
それに・・・もしかしたら
鈍感な俺だから・・・
陽和を傷つけちゃうことが
あるかも・・・しれない。
・・・だけど・・・
それ以上に・・・
陽和のこと・・・
大切に大切にするから。
ずっと・・・
あ・・・・・
愛していくから・・・。」
そういった朔は
照れ笑いを浮かべた。
陽和は・・・
朔のその大きな大きな愛に
また・・涙が止まらなかった。
朔はまた,ポンポンと
陽和の頭をなでた。
「行こうか?」
陽和はコクリとうなずいた。
朔は繋いでいる手に少しだけ
力を込めて・・・
二人はまた・・・歩き始めた。
由宇たちが待っている店の
前についた。
「陽和・・・
もう・・・大丈夫・・?」
「・・・うん。」
優しく問いかける朔に
陽和は柔らかい笑顔を返した。
「・・・あの・・・
朔ちゃん?」
「ん?」
「・・あ・・・
ありがとう・・・。」
「ん?え・・・あ・・
お・・・俺こそ・・・
ありがとう。」
何が・・・なんて
具体的なことは言わない
けれど・・・
二人はお互いの表情で
・・・全て伝わっていた。
あれだけ・・・
お互いの気持ちが
見えなくて見えなくて
苦しんできたのに・・・
こうやってお互いの気持ちが
わかった今なら・・・
素直に・・・感じることが
できる。
不思議だなと・・・
朔も陽和も・・・思った。