朔旦冬至 さくたんとうじ ~恋愛日和~
店に入ると,
すぐに陽和と朔を見つけた
中村先生が手を振る。
「すみません,
お待たせしました。」
そういって頭を下げる
朔に中村先生はにこりと
笑った。
「よかったわ
すっかり仲良くなったみたいで。
ねえ,由宇ちゃん?」
そういうと中村先生は
わざと由宇の手を握ってみせて
陽和たちのほうを見た。
「あ・・。」
「あ・・。」
陽和と朔は目を見合わせて
自分たちが手をつないだまま
店の中に入ってきて
しまったことに気が付いた。
「じゃあ,さくちゃん,
ひよりせんせいとなかなおり
したんだ?」
「あ・・・ああ・・。
うん・・まあな。」
そういうと朔は照れた顔で
陽和のほうを見た。
朔は陽和を促して
席に着いた。
陽和は恥ずかしくて
手を離したかったが・・・
朔はテーブルの下で
つないだ手を離さなかった。
「よかったねえ。
さくちゃん。」
由宇は満面の笑みで
朔に語り掛ける。
その様子を見て,陽和も
なんだか幸せな気分に
なった。
食事を終えた4人は,
お店の外に出た。
「じゃあ,私はここで。」
「先生,ホントに
ありがとうございました。」
そういう二人に中村先生は
後ろ向きで手を振って
帰って行った。
「陽和・・・送るよ。」
「あ・・・ううん,
いいよ。私・・・
電車で帰るから。」
「・・でも・・・。」
「いいの・・・
由宇ちゃんを
一人にして送ってもらうのは
いけないと思うし・・。
・・・これから・・・
のことも・・・
ある・・から・・。」
そういった顔を赤らめる
陽和に・・朔は
また胸をキュンとさせた。
「・・・じゃあ・・
駅の改札まで・・
送らせて?」
「・・・うん。」
朔は由宇を肩車して
駅までのわずかな道を
歩いた。
「よかったね。
さくちゃん。
きょうはいいこと
いっぱいだね。」
「・・・ああ・・。」
朔は何もかもお見通しの
由宇の言葉がくすぐったかった。
「ひよりせんせいも
いいことあった?」
「え・・・?」
陽和はちょっと戸惑いながら
・・・笑顔で答えた。
「うん。
とっても・・
いいことがあったよ。」
「そっか。よかったね。」
そういって満足そうな顔をする
由宇に,
朔と陽和は顔を見合わせて
くすっと笑った。
「じゃあ,ここで。」
「ああ。
今日は・・ごめん・・・
いろいろと強引・・で・・。」
「・・ううん・・・
あの・・・
うれしくて・・・私・・・
一生忘れないと思う。
今日のこと・・・。」
「あ・・・うん・・・
お・・俺も・・・・。」
陽和は朔のほうをそっと見上げて
にっこり微笑んだ。
「おやすみなさい,
朔ちゃん,由宇ちゃん。」
「おやすみなさい。」
「おやすみ。」
陽和はそういうと
改札を抜けたところで
もう一度振り返って
手を振った。
朔は顔を真っ赤にして
くるりと踵を返した。
「さて,由宇!
帰りましょうか?」
「うん。」
朔は幸せをかみしめながら
由宇を肩に乗せ
帰り道を歩いた。
「なあ?由宇?」
「なあに?」
「俺と陽和先生,
仲良しで・・・
いいんだよな?」
「うん!
ひよりせんせいと
なかよしなの,うれしいよ。」
「そっか。
これからさあ,
陽和先生とご飯食べに行ったり
どこか出掛けたりすることが
あるかもしれないけど・・・
いいか?」
「うん!うれしい!」
「そうか・・・。
よかった。」
朔は嬉しそうな由宇の様子に
少しだけ安心した。
この先・・・
どうなるかわからないけれど・・
もし・・陽和とうまく
いったときに・・・
由宇は受け入れて
くれるんだろうか。
朔は・・・そのことも
気になっていた。
家に着くとさっそく
陽和からメールが入っていた。
”無事つきました。
今日はありがとう。
ホントにびっくりした。
でも・・・うれしかった。
夢を・・・見ているみたいです。”
「陽和・・・。」
朔は気持ちを抑えきれなくて
陽和の声が・・・
聞きたくなった。
震える指で電話をかける。
「朔ちゃん?」
「陽和・・・・。
ごめん・・・。」
「え・・?」
「・・・声が・・・
聞き・・・たくて・・・。
ごめん・・さっきまで
会ってたのに・・・。」
「え・・あ・・
ふふ・・・。」
陽和は,情けなさそうな声の
朔に・・・胸の奥が
苦しくなった。
「うれしい・・・。」
「え・・?」
「・・・朔ちゃんに・・
そんな風に思ってもらえる
・・・なんて・・・。」
「・・・陽和・・・。」
陽和の手も緊張で
震えていた。
「・・・・。」
朔はしばらく電話を握りしめ
画面を見つめていた。
そして小さくガッツポーズ
をして・・・
喜びをかみしめていた。
陽和は・・・
電話を切った後・・・
顔を真っ赤にして
頬を押さえた。
そして・・・
ぎゅっと携帯電話を抱きしめた。
すぐに陽和と朔を見つけた
中村先生が手を振る。
「すみません,
お待たせしました。」
そういって頭を下げる
朔に中村先生はにこりと
笑った。
「よかったわ
すっかり仲良くなったみたいで。
ねえ,由宇ちゃん?」
そういうと中村先生は
わざと由宇の手を握ってみせて
陽和たちのほうを見た。
「あ・・。」
「あ・・。」
陽和と朔は目を見合わせて
自分たちが手をつないだまま
店の中に入ってきて
しまったことに気が付いた。
「じゃあ,さくちゃん,
ひよりせんせいとなかなおり
したんだ?」
「あ・・・ああ・・。
うん・・まあな。」
そういうと朔は照れた顔で
陽和のほうを見た。
朔は陽和を促して
席に着いた。
陽和は恥ずかしくて
手を離したかったが・・・
朔はテーブルの下で
つないだ手を離さなかった。
「よかったねえ。
さくちゃん。」
由宇は満面の笑みで
朔に語り掛ける。
その様子を見て,陽和も
なんだか幸せな気分に
なった。
食事を終えた4人は,
お店の外に出た。
「じゃあ,私はここで。」
「先生,ホントに
ありがとうございました。」
そういう二人に中村先生は
後ろ向きで手を振って
帰って行った。
「陽和・・・送るよ。」
「あ・・・ううん,
いいよ。私・・・
電車で帰るから。」
「・・でも・・・。」
「いいの・・・
由宇ちゃんを
一人にして送ってもらうのは
いけないと思うし・・。
・・・これから・・・
のことも・・・
ある・・から・・。」
そういった顔を赤らめる
陽和に・・朔は
また胸をキュンとさせた。
「・・・じゃあ・・
駅の改札まで・・
送らせて?」
「・・・うん。」
朔は由宇を肩車して
駅までのわずかな道を
歩いた。
「よかったね。
さくちゃん。
きょうはいいこと
いっぱいだね。」
「・・・ああ・・。」
朔は何もかもお見通しの
由宇の言葉がくすぐったかった。
「ひよりせんせいも
いいことあった?」
「え・・・?」
陽和はちょっと戸惑いながら
・・・笑顔で答えた。
「うん。
とっても・・
いいことがあったよ。」
「そっか。よかったね。」
そういって満足そうな顔をする
由宇に,
朔と陽和は顔を見合わせて
くすっと笑った。
「じゃあ,ここで。」
「ああ。
今日は・・ごめん・・・
いろいろと強引・・で・・。」
「・・ううん・・・
あの・・・
うれしくて・・・私・・・
一生忘れないと思う。
今日のこと・・・。」
「あ・・・うん・・・
お・・俺も・・・・。」
陽和は朔のほうをそっと見上げて
にっこり微笑んだ。
「おやすみなさい,
朔ちゃん,由宇ちゃん。」
「おやすみなさい。」
「おやすみ。」
陽和はそういうと
改札を抜けたところで
もう一度振り返って
手を振った。
朔は顔を真っ赤にして
くるりと踵を返した。
「さて,由宇!
帰りましょうか?」
「うん。」
朔は幸せをかみしめながら
由宇を肩に乗せ
帰り道を歩いた。
「なあ?由宇?」
「なあに?」
「俺と陽和先生,
仲良しで・・・
いいんだよな?」
「うん!
ひよりせんせいと
なかよしなの,うれしいよ。」
「そっか。
これからさあ,
陽和先生とご飯食べに行ったり
どこか出掛けたりすることが
あるかもしれないけど・・・
いいか?」
「うん!うれしい!」
「そうか・・・。
よかった。」
朔は嬉しそうな由宇の様子に
少しだけ安心した。
この先・・・
どうなるかわからないけれど・・
もし・・陽和とうまく
いったときに・・・
由宇は受け入れて
くれるんだろうか。
朔は・・・そのことも
気になっていた。
家に着くとさっそく
陽和からメールが入っていた。
”無事つきました。
今日はありがとう。
ホントにびっくりした。
でも・・・うれしかった。
夢を・・・見ているみたいです。”
「陽和・・・。」
朔は気持ちを抑えきれなくて
陽和の声が・・・
聞きたくなった。
震える指で電話をかける。
「朔ちゃん?」
「陽和・・・・。
ごめん・・・。」
「え・・?」
「・・・声が・・・
聞き・・・たくて・・・。
ごめん・・さっきまで
会ってたのに・・・。」
「え・・あ・・
ふふ・・・。」
陽和は,情けなさそうな声の
朔に・・・胸の奥が
苦しくなった。
「うれしい・・・。」
「え・・?」
「・・・朔ちゃんに・・
そんな風に思ってもらえる
・・・なんて・・・。」
「・・・陽和・・・。」
陽和の手も緊張で
震えていた。
「・・・・。」
朔はしばらく電話を握りしめ
画面を見つめていた。
そして小さくガッツポーズ
をして・・・
喜びをかみしめていた。
陽和は・・・
電話を切った後・・・
顔を真っ赤にして
頬を押さえた。
そして・・・
ぎゅっと携帯電話を抱きしめた。