朔旦冬至 さくたんとうじ ~恋愛日和~
由宇を寝かしつけた後も
朔は眠れなかった。

「陽和・・・。」

朔は心の整理が
出来かねていた。


 陽和は・・・
 俺の・・・彼女・・・
 なんだよな・・・。

 13年越しの片思いが実ると・・
 すぐには信じられないというのが
 本音なのだな・・

朔はそんな風に思っていた。


 自分は人並みの恋愛を
 してきていない。
 大人の恋愛はもちろん。
 中学生や高校生の淡い恋すら
 経験してきていない。

 ちゃんと・・・恋愛・・
 できるんだろうか。
 そもそも
 どうやって・・・付き合えば?

 ・・・ああ・・でも・・
 陽和もそれは・・
 同じなの・・かな。

 俺たちらしく・・
 不器用に・・・
 一歩ずつやっていけば・・
 いいのかな?

 わー・・これから・・・
 どんな風にして・・
 いけばいいのかな・・。


だけど・・・

朔は不思議だった。

 不安ももちろんある。

 だけど・・・その
 三百倍くらい・・・
 うれしくてたまらない。

 恋愛って・・・

 こういうものなのか・・・。



 この気持ちは・・
 子どものころと・・・

 変わらないんだな・・・。


 ただただ純粋に・・・


 陽和が好きだ。



陽和は自分が発した言葉に
また・・呆然としていた。


 は・・・恥ずかしかった・・。

だけど・・
それでも陽和は伝えたかった。

ただただ・・・
朔のことが好きだということだけ
朔に・・もう一度伝えたかった。

 子どものころ,ずっと
 憧れ続け・・・

 せっかく届きそうだった思いも
 自分の臆病さが原因で
 すれ違わせてしまって・・

 まさか・・
 大人になってから・・
 その思いが伝わるなんて・・。




 朔ちゃんと・・・
 恋人同士に・・

 ・・・なれたんだよね。



 ねえ・・朔ちゃん?


 ・・・・私のこと・・

 好き?





 もう・・・妄想の
 世界ではなく・・・

 本当に・・・

 朔ちゃんに・・・

 聞いてもいいんだよね?

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