present box
「姫様!ご無事ですか!?」
珍しく、少し取り乱しているようだ。
「ええ、平気よ。何かあったの?」
「実は、最近貴族の家々に現れていた怪盗が、この城にも忍び込んだようです。」
「それってもしかして…」
はい、と頷くナキヤ。
「バステトです。」
怪盗バステト。
最近、毎日のように新聞にその名が載るようになった。
しかし、素顔はもちろん、年齢、性別ですら分かっていない。
黒猫のように闇を移動し、一度狙ったものは必ず盗る。
しかも盗むのは裕福な貴族の家からだけ。
民からの人気も上がる一方だという。