君と私
1. 嘘



2月。


寒さなんて関係ない。

そんなことを感じさせる集中力だった。


丁寧な動作で丁寧に弓を引いていく。

弦をめいいっぱい引いて狙いをつけた。



ぱあんっ


的にあたるイメージは十分にできていた

はずだった。



飛ばした矢は的の少し右に外れる。



私は軽く息をついた。



「…戻んないなあ」

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