超能力者も恋をする
急いで美弥さんの元へ駆け寄ると、顔から脂汗が出て、お腹を押さえて痛がっている。佐川さんが抱き起こした。
「美弥さんっ、大変!病院、病院に行かなきゃ!赤ちゃんがっ!」

苦しむ美弥さんを見て、思わずすみれは叫んでしまった。
一瞬、美弥さんが「どうして?」と驚いた顔をしたが、またすぐ痛みが襲ってきて顔を歪めた。
佐川さんはいきなりの赤ちゃんの言葉に呆然としていたが、痛がる美弥さんを見て我に返り、急いで救急車を呼んだ。

「美弥、赤ちゃんって?」
「…。」
美弥さんは顔を歪めながら佐川さんを見上げた。それからポロポロ涙を流して話した。
「私、妊娠したの…。」

その場の皆が固まった。泣いている美弥さんを、見て佐川さんは何も言えずに動揺していた。

それからすぐ救急車が到着して、佐川さんが付き添って行った。

残された3人は、ただ立ち尽くして救急車を見送った。すみれは美弥さんたちが助かるのを祈った。
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