超能力者も恋をする

「間宮、大丈夫か?」

呼吸が早くなったすみれを見て慌てて先輩が聞いてくる。

「先輩、ごめんなさい。私、勝手に美弥さんの記憶を読んでしまって!
美弥さんに何て謝ればいいか…。ごめんなさい!」
「間宮、間宮は悪くない。頼んだ俺も悪かったし、美弥も佐川くんも悪い。
だから、白木さんにも言ったけど自分を責めないで。」

先輩はこんな時でも相手を思って優しい言葉を掛けてくれる。
でも見上げた先輩の表情は悲しげだった。
(先輩にこんな顔をさせてしまうなんて…。)
先輩の表情にショックを受けたすみれはそれ以上何を言っていいのか言葉が見つからなくて、何も言えなかった。
先輩も何も言わず、そのままの沈黙の中アパートへと着いた。
時刻はもう深夜になっていてかすかな玄関の灯りだけの中、2人は静かに部屋へと入って行った。

自室のベットに倒れ込む。
今日は色んな事があり過ぎて心も体も疲れ切ってしまった。 特にやっぱり久しぶりのサイコメトリーを使った疲労感が今になってどっと襲って来た。
目を閉じても思い出すのは先輩の悲しそうな横顔だ。
(先輩にどう思われたんだろう?)

やっぱり気持ち悪い?
人のプライバシーを覗くなんて嫌われてもおかしくない…。
先輩に嫌われる事を考えると、胸が締め付けられるように痛んで、鼻の奥がツンとしてきた。
< 107 / 135 >

この作品をシェア

pagetop