超能力者も恋をする
そうしていると携帯が震えていた。
ドキっとして恐る恐る画面を見るとそれは加藤先輩からの着信だった。
例の怪しい非通知からでなくてホッとしたが、今はとてもじゃないが先輩と話す事は出来なさそうだったから、そのまま出ないでやり過ごしてしまった。

切れてしまった携帯の画面をながめていたら、

カランカラン

まだ開店前だけれど、1人の若い男性が入って来た。すみれがいる事を見つけて尋ねてきた。
「あれ？まだ開店前だよな？マスターは？いないの？」
「あっ、今奥に行っています。」

そう伝えると男の人は何故かじーっとすみれに視線を向けてきた。いきなりの視線に困っていると、マスターが奥から出てきた。

「お、亮太。来てたのか。」
「はい。母さんから頼まれたカップ持って来た。ねぇ、あれ誰？」
そう言って男の人は紙袋をマスターに手渡して、視線をまたすみれに向けてきた。
「こら！亮太！お客様になんだその口の聞き方は！すまないね、すみれちゃん。こいつは私の孫なんだけど口の悪い奴で申し訳ない。」
そう言ってマスターは男の人の頭をはたいてすみれに謝った。
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