超能力者も恋をする
すると先輩は顎に手を当て何やら考えながらじーっと探るような目ですみれを見る。

「…。」

バクバクバクバク。

心臓が緊張で止まっちゃいそうだ。それでも不自然にならないように笑顔は崩さないように踏ん張って先輩からの視線に耐えた。

「んー、確かに今日はちょっと飲み過ぎた。…じゃあ、きっと見間違えたんだな。ファイルが飛ぶわけないもんなー。」
そう言って先輩はちょっと照れ臭そうに頭を掻いた。

「そうですよー。もー、びっくりしちゃった。」
「ごめんな間宮、手、止めさせて悪かったな」
そう言って加藤先輩は自分のデスクに行き、携帯を探していた。
先輩から顔が見えないようになると、気づかれないように小さく息を吐いた。

(誤魔化せたみたいで良かった…。)
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