超能力者も恋をする
先輩は優しかった。
私が言いたくないのを察して、踏み込んで聞かないでくれた。

(…でも、言えなかった。)
ホッと胸を撫で下ろすが、それとは反対に残念に思っている自分もいて、すみれは自分の心に戸惑ってしまう。
シンクに食器を持って行く先輩の背中を複雑な気分で見つめていた。

「ぅおっと!」

つまづいてしまって食器が落ちていくのが見えた。
ガタガタッと茶碗が床に落ちる。
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