超能力者も恋をする
今日は残業も無く、早く帰ろうと早足で歩く。
「間宮!」
後ろから声を掛けられて振り向くと、加藤先輩だった。手にはスーパーの袋を持っていた。

「さ〜、今日はお好み焼きだ!ビール無かったから買ってきたぞ。」
「わぁ、お好み焼きにビールは最高ですね。早く帰って作りましょう。」
夕暮れの道を2人並んで家路をを急いだ。

ジュージューと焼ける音と共に、香ばしい香りが漂ってきた。
「行きますよ。」

すみれはいい具合に焼けてきたお好み焼きをじっと見つめた。
次の瞬間お好み焼きがふっと、浮いてクルっと回転してお皿の上に落ちていった。そして、右手を一振りするとソースとマヨネーズが冷蔵庫からやって来て、細い線を描いていく。
最後に青のりがパラパラと降られて、出来上がりだ。

「おぉ〜!」
先輩がパチパチと手を叩く。

先輩は何かにつけてすみれの念力を見たがるので、たまにこうやって力を使っている。

先輩はどうやらアメコミのヒーロー達に憧れていたらしく、だからすみれの超能力も本心から憧れているそうだ。
ただ、すみれが物を浮かせたり位の超能力が無いと話した時は若干がっかりしていた。
先輩は目からビームや、巨大化したり、空を自由に飛べる事等のド派手な物を期待していたらしい。
(いくら何でもそれは出来ないですよ…。)
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