超能力者も恋をする
「水…飲みたい…」
「水飲むんですか?」
すみれが聞くと、先輩はこっくりと頷いた。その仕草は何だか可愛らしかった。

支えながら台所に着くと、先輩は椅子に 座ってニコニコしながらすみれに言った。
「水ちょーだい。」
…何だろう? どうやら加藤先輩は酔っ払うと、子供っぽくなって可愛らしい感じになるようだ。何だかキャラが違っている。 何とも以外だ…。
まっ、可愛いいからいっか。

冷たい水をコップに注いで出すと、ゴクゴクと喉を鳴らして一気に飲んでしまった。
「美味しかった〜。」
満面の笑みですみれに笑いかけるので、思わずすみれも笑顔になる。
「良かったですね。さ、先輩寝ましょうか?」
「うん。」

そして、ふらつく体を支えながら寝室まで付いて行った。
始めて入る先輩の寝室は、カーテンも布団も青で纏められていて、いかにも男性の部屋という感じがした。
角に段ボールが無造作に積み重ねられているが、先輩同様すっきりとした部屋だった。

先輩をベットに腰掛けされる。
すると背の高い先輩よりすみれの方が目線が高くなった。いつもは先輩を見上げてばかりだけれど、今は反対だ。
先輩が上目遣いですみれを見上げてきた。
いつもと違う先輩の顔にドキっとして頬が赤くなってきた。
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