超能力者も恋をする

ちょっと先輩に対して浮かれてた節があったから、再度気を引き締めると心に誓って、玄関の扉を開く。

「ただいま戻りました。」

返事は無く、代わりにリビングから話し声が聞こえた。玄関には加藤先輩の靴しか無かったから、恐らく電話中なんだと思う。

一旦部屋に入って着替えてから、リビングへと向かった。
リビングに入るとやっぱり先輩は電話で誰かと話していた。その声は普段の先輩と違って酷く焦っているようだった。

「わかった。こっちも探しに出るから、また連絡して。」

そう言って電話を切った先輩は、ため息を吐きながら頭を抱えてソファーに座り込んでしまった。

「先輩、大丈夫ですか？」
「あ、間宮帰ってたんだ。おかえり。」
一応笑いかけておかえりと言ってくれたが、それは弱々しかった。いつもと違う先輩の様子に心配して声をかけた。
「先輩、大丈夫ですか？何かあったんですか？」
「変な所見せて悪かったな。…ちょっとゴタゴタがあって…。」
言いにくそうにして先輩は口を噤んだが、ふっと何か思いついた様子で暫くすみれを見つめながら考え込み始めた。
「もしかして…間宮なら？」
「え？私？」