赦せないあいつと大人の恋をして
白いセダン
クリスマスも終わって、もう今年も残りわずか。後、数日で年末年始のお休みに入る。
仕事だけで終わるつもりだったはずの一年。結婚なんて生涯しないつもりでいた。二十七歳になった今年、何故か行き掛かり上と言うべきか……。二度のお見合いを経験した。
一度目は副社長のお奨めのあいつ菅田 龍哉……。まさか、あいつがお見合い相手だとは考えもしなかった。
そして昨日の隼人さんとのお見合い。隼人さんは一緒に居ても楽しかったし安らげる人なんだと思う。次は食事に誘われている。このまま結婚願望もなかった私が普通に結婚するのだろうか? 自分でもよく分からない。こんな私が幸せになれるんだろうか?
そんな事を考えながら会社を出て、いつものように地下鉄の駅に向かう。私は気付いていなかった。あいつが白いセダンで、また迎えに来てくれている事に……。歩道を考え事をしながら足元だけを見て歩いていた。
突然、誰かにぶつかりそうになった。思わず
「あっ、ごめんなさい」
顔を上げた私に見えたのは、あいつだった。
「どうした? また具合でも悪いのか?」
心配そうな顔。
「あぁ、ううん。そうじゃない」
「いつもの場所に車を停めてたのに気付かなかった?」
「ごめん。ちょっと考え事をしてたから」
「送るよ。なんだかボーッとして危なっかしいから」
「いい。きょうは一人で帰るから」
「地下鉄の階段で転んだりしたら大変だろ? 乗れって」
結局、私は、あいつの車に乗ってマンションまで送って貰っている。
いいのかな? 私、昨日お見合いしたばかりなのに……。でも、お見合いしただけ、結婚を決めた訳じゃない。もしも隼人さんが今の私を見たら……。やっぱり気分の良いものではないだろう。
もうすぐマンションに着く頃に私は思い切って言った。
「私ね、昨日、お見合いしたの……」
「えっ? ……。あぁ、そうか。そうだったんだ。良さそうな奴か?」
「昨日、会ったばかりだから分からないけど、兄の友人でもある人だから」
マンションの前に車を停めて、あいつが言った。
「そうか、分かったよ。縁があって幸せになれるといいな」
「…………」
なんて答えればいいんだろうかと考えていた。
「じゃあ……」
あいつが、こっちを見て言った。
「うん……」
私は、あいつの顔を見ないで車を降りた。
仕事だけで終わるつもりだったはずの一年。結婚なんて生涯しないつもりでいた。二十七歳になった今年、何故か行き掛かり上と言うべきか……。二度のお見合いを経験した。
一度目は副社長のお奨めのあいつ菅田 龍哉……。まさか、あいつがお見合い相手だとは考えもしなかった。
そして昨日の隼人さんとのお見合い。隼人さんは一緒に居ても楽しかったし安らげる人なんだと思う。次は食事に誘われている。このまま結婚願望もなかった私が普通に結婚するのだろうか? 自分でもよく分からない。こんな私が幸せになれるんだろうか?
そんな事を考えながら会社を出て、いつものように地下鉄の駅に向かう。私は気付いていなかった。あいつが白いセダンで、また迎えに来てくれている事に……。歩道を考え事をしながら足元だけを見て歩いていた。
突然、誰かにぶつかりそうになった。思わず
「あっ、ごめんなさい」
顔を上げた私に見えたのは、あいつだった。
「どうした? また具合でも悪いのか?」
心配そうな顔。
「あぁ、ううん。そうじゃない」
「いつもの場所に車を停めてたのに気付かなかった?」
「ごめん。ちょっと考え事をしてたから」
「送るよ。なんだかボーッとして危なっかしいから」
「いい。きょうは一人で帰るから」
「地下鉄の階段で転んだりしたら大変だろ? 乗れって」
結局、私は、あいつの車に乗ってマンションまで送って貰っている。
いいのかな? 私、昨日お見合いしたばかりなのに……。でも、お見合いしただけ、結婚を決めた訳じゃない。もしも隼人さんが今の私を見たら……。やっぱり気分の良いものではないだろう。
もうすぐマンションに着く頃に私は思い切って言った。
「私ね、昨日、お見合いしたの……」
「えっ? ……。あぁ、そうか。そうだったんだ。良さそうな奴か?」
「昨日、会ったばかりだから分からないけど、兄の友人でもある人だから」
マンションの前に車を停めて、あいつが言った。
「そうか、分かったよ。縁があって幸せになれるといいな」
「…………」
なんて答えればいいんだろうかと考えていた。
「じゃあ……」
あいつが、こっちを見て言った。
「うん……」
私は、あいつの顔を見ないで車を降りた。