赦せないあいつと大人の恋をして
東京
少し車を走らせて着いたところは東京タワー。駐車場に車を入れて隼人さんは言った。
「僕、東京で生まれて二十九年間、一度も来た事ないんです」
「実は、私も……」
「近過ぎて、いつでも行けると思うとなかなか機会ないですよね。スカイツリーが出来ましたけど、この調子で行くと……。六十歳くらいになったら行けるかな?」
と笑った。
二人で展望台に上がった。改めて言うまでもないけれど、やっぱり景色は最高。特にきょうは、お天気にも恵まれて遠くまで良く見える。
富士山が見えると、どこかの子供たちが騒いでいる。お正月も営業しているなんて知らなかった。家族連れやカップル、子供たちの団体は遠足? じゃないわよね。
隼人さんの家は、こっちの方? 私の家はどっちかな、なんて話しながら。もちろん見える訳では無いけれど……。子供の頃の遠足気分を思い出した。
一通り景色を眺めて楽しんだら、次は水族館に連れて行かれた。世界中の美しい魚や珍しい魚が集められている。それも知らなかった。綺麗な熱帯魚をウットリしながら見ていたら突然後ろから突き飛ばされた。
「あっ」
前のめりに転びそうになった私を隼人さんは抱き止めてくれた。
「大丈夫?」
と隼人さん。心配そうな顔が近過ぎる。
すごく恥ずかしかったけど……。
「ごめんなさい。ありがとう」
そう言うと隼人さんは
「さっきの小学生に感謝すべきかな?」
と笑っていた。
綺麗な熱帯魚を一通り見て回って水族館を後にした。
「そろそろ、お腹空きましたね」
と隼人さんは運転しながら言った。
着いた所は江戸前の和食のお店。なんでも東京湾で取れた食材しか使わないという、こだわりの店。隼人さんは常連らしく
「いらっしゃい」
と言われた後
「正月休みに美人とデートとは羨ましいね」
カウンターに二人で並んで座ったら、板前さんに言われていた。やや年配のベテランの板前さん。聞くとオーナーらしい。
隼人さんのお父様のご贔屓(ひいき)の店だと教えられた。天ぷらやお刺身、中でもコウイカのお刺身が美味しかった。東京に住んでいながら知らない事ばかりだと教えられた気がした。
「僕、東京で生まれて二十九年間、一度も来た事ないんです」
「実は、私も……」
「近過ぎて、いつでも行けると思うとなかなか機会ないですよね。スカイツリーが出来ましたけど、この調子で行くと……。六十歳くらいになったら行けるかな?」
と笑った。
二人で展望台に上がった。改めて言うまでもないけれど、やっぱり景色は最高。特にきょうは、お天気にも恵まれて遠くまで良く見える。
富士山が見えると、どこかの子供たちが騒いでいる。お正月も営業しているなんて知らなかった。家族連れやカップル、子供たちの団体は遠足? じゃないわよね。
隼人さんの家は、こっちの方? 私の家はどっちかな、なんて話しながら。もちろん見える訳では無いけれど……。子供の頃の遠足気分を思い出した。
一通り景色を眺めて楽しんだら、次は水族館に連れて行かれた。世界中の美しい魚や珍しい魚が集められている。それも知らなかった。綺麗な熱帯魚をウットリしながら見ていたら突然後ろから突き飛ばされた。
「あっ」
前のめりに転びそうになった私を隼人さんは抱き止めてくれた。
「大丈夫?」
と隼人さん。心配そうな顔が近過ぎる。
すごく恥ずかしかったけど……。
「ごめんなさい。ありがとう」
そう言うと隼人さんは
「さっきの小学生に感謝すべきかな?」
と笑っていた。
綺麗な熱帯魚を一通り見て回って水族館を後にした。
「そろそろ、お腹空きましたね」
と隼人さんは運転しながら言った。
着いた所は江戸前の和食のお店。なんでも東京湾で取れた食材しか使わないという、こだわりの店。隼人さんは常連らしく
「いらっしゃい」
と言われた後
「正月休みに美人とデートとは羨ましいね」
カウンターに二人で並んで座ったら、板前さんに言われていた。やや年配のベテランの板前さん。聞くとオーナーらしい。
隼人さんのお父様のご贔屓(ひいき)の店だと教えられた。天ぷらやお刺身、中でもコウイカのお刺身が美味しかった。東京に住んでいながら知らない事ばかりだと教えられた気がした。