赦せないあいつと大人の恋をして
二十歳のライバル
それから数日後、仕事を終えて外に出ると誰かの視線を感じた。周りを見渡しても知った顔はいない。気のせいかなと思い、また歩き出した。その時
「あのう、早崎 綾さんですよね」と声を掛けられた。
振り向くと二十歳くらいの女の子が私を見ている。
「早崎ですけど……。ごめんなさい。どこかでお会いしたかしら?」
「北川 隼人さんのお店で……」
「あぁ、あの時、事務所に案内してくれたピンクの制服の……」
思い出した。
「はい。……あのう、実は……」
わざわざ私に会いに来た。きっと彼女にとっては大切な用があるのだろう。
「どこかで少し、お話ししましょうか?」と言うと
「はい」
思い詰めたような表情で答えた。
私は地下の通路を通って駅の北側の落ち着いた喫茶店に連れて行った。以前、あいつ菅田 龍哉に連れて行かれた店。ここなら、ゆっくり話も出来る。あの時とは違う席に彼女と座った。マスターが注文を聞きに来る。
「私はミルクティー。何にする?」と聞くと
「同じもので」
「じゃあ、ミルクティーを二つ」
俯いて困ったような、でも何かを決心したような彼女に
「私の会社がここだっていう事は?」
「隼人さんのお母さんが、この会社で秘書をしているって話してくれたので」
「そうだったの。それで私に何か?」
「お願いです。私から隼人さんを取らないでください」
「えっ?」
突然の思いもしなかった彼女の言葉に驚いた。
「ちょっと待ってね。隼人さんとは、お見合いして何度か会っているけど」
「隼人さんも、隼人さんの両親も早崎さんをとても気に入っているみたいで。このままでは隼人さんが、あなたと結婚してしまうって思って」
だから私に会いに来た。結婚しないでくださいって言うために……。私は、なんだか酷く冷静な自分に驚いていた。
「あぁ、まだ、お名前も聞いてなかったわよね」
「あっ、すみません。秦野 実花(はたの みか)っていいます。隼人さんのお母さんとは親戚筋になります。血は繋がっていませんけど」
「お歳は?」
「二十歳です」
「隼人さんのお店で働いているのよね」
「日曜だけアルバイトさせて貰ってます。短大の二年生です」
「あのう、早崎 綾さんですよね」と声を掛けられた。
振り向くと二十歳くらいの女の子が私を見ている。
「早崎ですけど……。ごめんなさい。どこかでお会いしたかしら?」
「北川 隼人さんのお店で……」
「あぁ、あの時、事務所に案内してくれたピンクの制服の……」
思い出した。
「はい。……あのう、実は……」
わざわざ私に会いに来た。きっと彼女にとっては大切な用があるのだろう。
「どこかで少し、お話ししましょうか?」と言うと
「はい」
思い詰めたような表情で答えた。
私は地下の通路を通って駅の北側の落ち着いた喫茶店に連れて行った。以前、あいつ菅田 龍哉に連れて行かれた店。ここなら、ゆっくり話も出来る。あの時とは違う席に彼女と座った。マスターが注文を聞きに来る。
「私はミルクティー。何にする?」と聞くと
「同じもので」
「じゃあ、ミルクティーを二つ」
俯いて困ったような、でも何かを決心したような彼女に
「私の会社がここだっていう事は?」
「隼人さんのお母さんが、この会社で秘書をしているって話してくれたので」
「そうだったの。それで私に何か?」
「お願いです。私から隼人さんを取らないでください」
「えっ?」
突然の思いもしなかった彼女の言葉に驚いた。
「ちょっと待ってね。隼人さんとは、お見合いして何度か会っているけど」
「隼人さんも、隼人さんの両親も早崎さんをとても気に入っているみたいで。このままでは隼人さんが、あなたと結婚してしまうって思って」
だから私に会いに来た。結婚しないでくださいって言うために……。私は、なんだか酷く冷静な自分に驚いていた。
「あぁ、まだ、お名前も聞いてなかったわよね」
「あっ、すみません。秦野 実花(はたの みか)っていいます。隼人さんのお母さんとは親戚筋になります。血は繋がっていませんけど」
「お歳は?」
「二十歳です」
「隼人さんのお店で働いているのよね」
「日曜だけアルバイトさせて貰ってます。短大の二年生です」