赦せないあいつと大人の恋をして
待ち合わせ
きょうは隼人さんの店舗は定休日。六時過ぎには会社の近くで待っていると言ってくれた。お願いして会社から少し離れた場所に居て貰った。
年末年始の休暇で思った通り、あいつの車に乗ったというあの噂は消えた。きょうブルーのドイツ車なんかに乗り込む所を見られたら……。わざわざ自分で墓穴を掘るような事はしたくはない。
六時には会社を出て隼人さんの待つ場所に急いだ。
「ごめんなさい。遅くなって……」
息を弾ませながら車に乗って言った。
「そんなに急いで来なくても平気なのに」
隼人さんは笑顔で。
「待たせているって思ったら、つい……」
走って来た訳でもないのに。
「大丈夫? 六時まで仕事なのに六時に来るなんて思ってないよ」
隼人さんは車を出した。
「今夜は少し遅くなっても構わないかな?」
「はい。大丈夫です」
「そうだ。実花ちゃんが会いに来たそうだね。すまない。迷惑掛けたね」
「いいえ。迷惑なんて思っていませんから。ちょっと驚きましたけど」
私には、あんな行動力はない。好きな人のお見合い相手に自分の気持ちなど言えないだろう。
「彼女が幼稚園の時に、お嫁さんにしてって言ってくれた子なんだ」
「えぇ、私もそうじゃないかと気付きました。可愛いお嬢さんですね」
ミカさんの一途な思い詰めた顔と安心したような笑顔が浮かんだ。
「でも僕も驚いた。まさか今でも想ってくれてたなんて知らなくて」
「だから言いましたよね。大人になって、お嫁に来ちゃいますよって」
隼人さんの顔を見ながら言うと
「どうも僕は女の子の気持ちに鈍感らしくて……。反省したよ」
「そうですね。それでミカさんの気持ちに応えるんですか?」
「もし、そうなら僕は今ここには居ないよ」
「ミカさん可愛そう。初恋だったのに失恋なんですね」
その時、私は自分の立場など考えてはいなかった。
「僕には綾さんがいるから……。そうだ。実花ちゃんが綾さんに、ありがとうって伝えて欲しいって言ってた」
「良い子ですね。ミカさん。可愛いし素直だし。私、友達になりましたから」
「綾さん、あなたは不思議な人だね」
笑いながら私を見ている。
「不思議ですか? 私、そんなに変わってます?」
「いや、不思議な魅力のある人だなって思って」
「それは褒められてるんでしょうか?」
「勿論だよ。綾さんをもっと好きになった」
年末年始の休暇で思った通り、あいつの車に乗ったというあの噂は消えた。きょうブルーのドイツ車なんかに乗り込む所を見られたら……。わざわざ自分で墓穴を掘るような事はしたくはない。
六時には会社を出て隼人さんの待つ場所に急いだ。
「ごめんなさい。遅くなって……」
息を弾ませながら車に乗って言った。
「そんなに急いで来なくても平気なのに」
隼人さんは笑顔で。
「待たせているって思ったら、つい……」
走って来た訳でもないのに。
「大丈夫? 六時まで仕事なのに六時に来るなんて思ってないよ」
隼人さんは車を出した。
「今夜は少し遅くなっても構わないかな?」
「はい。大丈夫です」
「そうだ。実花ちゃんが会いに来たそうだね。すまない。迷惑掛けたね」
「いいえ。迷惑なんて思っていませんから。ちょっと驚きましたけど」
私には、あんな行動力はない。好きな人のお見合い相手に自分の気持ちなど言えないだろう。
「彼女が幼稚園の時に、お嫁さんにしてって言ってくれた子なんだ」
「えぇ、私もそうじゃないかと気付きました。可愛いお嬢さんですね」
ミカさんの一途な思い詰めた顔と安心したような笑顔が浮かんだ。
「でも僕も驚いた。まさか今でも想ってくれてたなんて知らなくて」
「だから言いましたよね。大人になって、お嫁に来ちゃいますよって」
隼人さんの顔を見ながら言うと
「どうも僕は女の子の気持ちに鈍感らしくて……。反省したよ」
「そうですね。それでミカさんの気持ちに応えるんですか?」
「もし、そうなら僕は今ここには居ないよ」
「ミカさん可愛そう。初恋だったのに失恋なんですね」
その時、私は自分の立場など考えてはいなかった。
「僕には綾さんがいるから……。そうだ。実花ちゃんが綾さんに、ありがとうって伝えて欲しいって言ってた」
「良い子ですね。ミカさん。可愛いし素直だし。私、友達になりましたから」
「綾さん、あなたは不思議な人だね」
笑いながら私を見ている。
「不思議ですか? 私、そんなに変わってます?」
「いや、不思議な魅力のある人だなって思って」
「それは褒められてるんでしょうか?」
「勿論だよ。綾さんをもっと好きになった」