赦せないあいつと大人の恋をして
理想的な家族の姿
 緊張していたのが嘘みたいに解れていくのを感じていた。
 二人で並んで、お店に入ると奥の予約席に案内される。隼人さんに注文は、お任せして。メニューとにらめっこしながら注文を終えると美味しい料理と一緒に、お酒も載っているだろうと思い。

「せっかくのお料理に、お酒が飲みたくなりませんか?」

「好きですよ。でも、きょうは車ですからね。帰れなくなりますから。今度は、お酒でも飲みに誘っても良いですか?」

「はい。私も嫌いじゃないですから」

「居酒屋みたいな所にも行くんですか?」

「行きますよ。ほとんど女同士の女子会ですけどね」

「女子会、楽しそうですね。僕も入れて貰いたいな」

「それじゃあ、女子会じゃなくなりますけど……」

「そうですね」

 隼人さんの笑顔は綺麗だななんて思っていた。
 美味しそうなお料理が次々に運ばれて来る。本当に美味しい。超一流店なのは伊達じゃないんだ。

「すごく美味しい」

「良かった。気に入って貰えて」

 隼人さんと食事をしながら楽しく話も出来た。会社の話から御局の話まで。

「家には秘書課はないから御局はいないし、良く分からないけど。やっぱり女の城は大変なんだな」

「でも家の御局は優しくて素敵な人だったんです」

「仕事は完璧で優しくて素敵な御局ですか?」

「えぇ、私も彼女みたいになれたらいいなと思いました」

「それは仕事を続けるって事ですか?」

「以前は、そう思っていました。生涯、会社に残って秘書課の御局になろうって」

「今は変わったんですか?」

「結婚する幸せも、あるんだなって。先日、友人の結婚式に出て、ちょっと羨ましいなって思って」

「それは女性としては良い傾向なんじゃないですか?」

「彼女、お腹に赤ちゃんが居て、ダブルのおめでただったんですけど、ご主人が彼女を気遣うのを見て素敵だと思えて……」

「自分の子供を産んでくれる女性には最大限に優しくしなければと思います。もう尊敬に値しますよ。出産って男には想像も出来ない偉業ですからね」

 隼人さんは、きっと生まれた子供も奥さんも大切に愛していくんだろうな。優しい笑顔に愛情のあふれた理想的な家族の姿が浮かんだ。
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