赦せないあいつと大人の恋をして
昼休み
翌日は当然仕事。昨夜は隼人さんと横浜まで中華を食べに出掛けて帰りが少し遅くなった。ちょっとだけ寝不足かな?
とにかく返事は急がないと言われて、なんだか安心していた。隼人さんと一緒に居ることは、もちろん苦痛ではない。寧ろ楽しい時間を過ごしているのは間違いないのだから。
お昼休みに近くに安くて美味しいパスタ屋さんが出来たと聞いて、お弁当や、朝コンビニに寄って会議室で食べる組を除いて出掛けた。
それほど広くはない店内は、もう既に満員。私たちの前に待って居た女性客は、待ち時間が長かったのか諦めて帰った。次に席が空けば入れる。
早めに来ていた客が、そろそろ終わりそうな時間。私たちは五分も待たずに席に着く事が出来た。
「あの彼女、諦めないで、もう少し待てば良かったのにね」
一年先輩の敦子さんが言った。
「待つのも必要な時間だって気付けないと損するものよ。彼女、きっと大切なところで出会うべき男も逃すタイプね」
何でも男に例えるのは癖のようだ。いつもそう。
「先輩は、いつも待ってるんですか?」
二年後輩の由美ちゃんは興味深そうに聞いた。
それは禁句なのに……。
敦子先輩は今年三十路を迎える。四月生まれだから三月生まれの隼人さんと学年で言えば一つ違い。
でも今年三十歳なのは同じ事。
「近頃は適齢期もなくなってるでしょう? 出産年齢も四十代や五十代で初産なんてザラだし。まだ希望は捨ててないわよ。女は三十からよ」
と笑った。
私はてっきり敦子先輩は御局志望なのだと思っていた。秘書課の御局次期候補として有力株。
私の一年先輩は、この数年でバタバタと寿退社し敦子先輩一人しか残っていない。
「私は二十代の内に結婚したいです」
と由美ちゃん。
だからそれは禁句なんだって……。
「そういうお付き合いの人いるの?」
と敦子先輩。
「はい。先月クリスマスイブにプロポーズされました」
「そう。おめでとう」
敦子先輩は余裕の笑顔……。
クリスマスイブ……。私が隼人さんとお見合いした日だ。あの日、由美ちゃんは最高に幸せな日を迎えていた。
注文したパスタが運ばれて来て、そういう話題はおしまいになった。私は、ほっと胸をなでおろしながら評判の美味しいパスタを味わった。
とにかく返事は急がないと言われて、なんだか安心していた。隼人さんと一緒に居ることは、もちろん苦痛ではない。寧ろ楽しい時間を過ごしているのは間違いないのだから。
お昼休みに近くに安くて美味しいパスタ屋さんが出来たと聞いて、お弁当や、朝コンビニに寄って会議室で食べる組を除いて出掛けた。
それほど広くはない店内は、もう既に満員。私たちの前に待って居た女性客は、待ち時間が長かったのか諦めて帰った。次に席が空けば入れる。
早めに来ていた客が、そろそろ終わりそうな時間。私たちは五分も待たずに席に着く事が出来た。
「あの彼女、諦めないで、もう少し待てば良かったのにね」
一年先輩の敦子さんが言った。
「待つのも必要な時間だって気付けないと損するものよ。彼女、きっと大切なところで出会うべき男も逃すタイプね」
何でも男に例えるのは癖のようだ。いつもそう。
「先輩は、いつも待ってるんですか?」
二年後輩の由美ちゃんは興味深そうに聞いた。
それは禁句なのに……。
敦子先輩は今年三十路を迎える。四月生まれだから三月生まれの隼人さんと学年で言えば一つ違い。
でも今年三十歳なのは同じ事。
「近頃は適齢期もなくなってるでしょう? 出産年齢も四十代や五十代で初産なんてザラだし。まだ希望は捨ててないわよ。女は三十からよ」
と笑った。
私はてっきり敦子先輩は御局志望なのだと思っていた。秘書課の御局次期候補として有力株。
私の一年先輩は、この数年でバタバタと寿退社し敦子先輩一人しか残っていない。
「私は二十代の内に結婚したいです」
と由美ちゃん。
だからそれは禁句なんだって……。
「そういうお付き合いの人いるの?」
と敦子先輩。
「はい。先月クリスマスイブにプロポーズされました」
「そう。おめでとう」
敦子先輩は余裕の笑顔……。
クリスマスイブ……。私が隼人さんとお見合いした日だ。あの日、由美ちゃんは最高に幸せな日を迎えていた。
注文したパスタが運ばれて来て、そういう話題はおしまいになった。私は、ほっと胸をなでおろしながら評判の美味しいパスタを味わった。