赦せないあいつと大人の恋をして
胎動
 次の日曜日。一月最後の日曜に私は実家に居た。家に帰るのは、お正月以来。久しぶりに母の手料理をしっかり食べさせられた。

 義姉も、そろそろ五ヵ月も終わりになり悪阻も落ち着いたようだ。元々スタイルは良い義姉が少しお腹が目立つようになって来た。ゆったりした服を着るようになって妊婦さんって感じ。

「赤ちゃん、動くの?」

「もう動き始める頃なんだけどね。まだなの」

「大丈夫よ。お医者様も順調だって、おっしゃったんでしょう? 心配したり気にするのが一番いけないのよ。ドーンと構えていなきゃね」
 母は笑顔でそう言った。やっぱり母は強しだ。妊娠、出産の経験者には、どんな知識だって勝てない。

「はい。……。あら? ……。今……」

「どうしたの? お義姉さん」

「今、動いたの。ほんの少し……」

「本当? ねぇ、お兄ちゃんは?」

「きょうは仕事で出掛けてるの」

「あっ、また……」
 義姉はとても嬉しそうだ。
「綾ちゃん、触ってみて」

「えっ? いいの?」

「ほらほら……。ここ」

 私は恐る恐る義姉のお腹に手を伸ばした。義姉が私の手を取って赤ちゃんの動くところに当ててくれた。しばらくすると……。

「あっ……。本当だ。動いた。すごい……」

 義姉のお腹の中で二人の愛の結晶が、ここに居るよ。元気だよ。そう言っている気がした。感動だった。

 あなたが生まれて来るのを楽しみに待っているからね。あなたのパパとママは素敵な人だから安心して生まれて来てね。叔母ちゃんも居るんだよ。私はあなたの叔母ちゃんだからね。

 そうそう、おじいちゃんもおばあちゃんも二組居るんだよ。みんなに望まれて生まれて来るあなたは幸せなんだよ。

 今から親バカならぬ叔母バカになりそうな予感がしていた。きっと可愛くてしょうがないんだろうな。君は男の子? それとも女の子? どっちでも良い。健康で元気に生まれて欲しい。
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