赦せないあいつと大人の恋をして
食事の風景
連れて行かれたのは大きな生け簀のある活魚が人気の和食店。日曜の夕方、家族連れやカップルで賑わう活気のある店だった。
テーブルに着き龍哉さんのお奨めの刺身定食を注文した。
もう食事も済んだのか退屈している子供たちが通路を行き来する。そんな子供を煩わしく思う様子もなく、笑顔で見ている龍哉さんが意外だった。
その時、私たちの座るテーブルの横で四歳くらいだろうか、男の子が転んだ。龍哉さんは席を立って、その子を抱き起こした。
「大丈夫か? 泣かないんだな。偉いぞ」
男の子は笑顔で頷いて親の居るテーブルへ帰って行った。
「子供、好きなの?」
「何か小さかった頃の自分を思い出すんだ。周りの人みんなに優しくされて生きて来られた気がしてる。あの監督の元さんなんか、俺にとっては母親代わりみたいなものだったから」
「そうね。私が友人の個展の帰りに偶然通り掛って、あのマンションを見付けて。あの時、監督さんが龍哉さんを呼んでくれなかったら……。今、こうして一緒に居る事もなかったかもしれないのよね」
「そうだな。元さんに感謝しないといけないな。元さんが君を覚えていなかったら俺に連絡くれる事もなかった。やっぱり俺にとっては母親だな、元さんは。ちょっとゴツイけど」
「あっ、酷い。自分の仕事に誇りを持ってる素敵な人だと思ったわよ。マンションの中を案内してくれたあの時」
「そうか。今度、会わせるよ。美人の奥さんにも」
「うん。楽しみにしてる」
注文したお料理が運ばれて来た。
「美味しそう」
「ここの刺身は本当に美味いよ。さっきまで生け簀で泳いでたんだからな。さぁ、食べよう」
「うん。いただきます」
龍哉さんと向かい合って楽しく話しながら食事をしている。こんなに笑顔で色んな話をしてくれる人だなんて思わなかった。人は付き合ってみなければ分からないものなんだと改めて思う。
周りから見れば、私たちは極普通のカップルに見えるのだろうか。
「美味しかった。こんな新鮮なお刺身、久しぶりに食べた気がする」
「うん。良かった、気に入って貰えて。さぁ、行くか?」
テーブルに着き龍哉さんのお奨めの刺身定食を注文した。
もう食事も済んだのか退屈している子供たちが通路を行き来する。そんな子供を煩わしく思う様子もなく、笑顔で見ている龍哉さんが意外だった。
その時、私たちの座るテーブルの横で四歳くらいだろうか、男の子が転んだ。龍哉さんは席を立って、その子を抱き起こした。
「大丈夫か? 泣かないんだな。偉いぞ」
男の子は笑顔で頷いて親の居るテーブルへ帰って行った。
「子供、好きなの?」
「何か小さかった頃の自分を思い出すんだ。周りの人みんなに優しくされて生きて来られた気がしてる。あの監督の元さんなんか、俺にとっては母親代わりみたいなものだったから」
「そうね。私が友人の個展の帰りに偶然通り掛って、あのマンションを見付けて。あの時、監督さんが龍哉さんを呼んでくれなかったら……。今、こうして一緒に居る事もなかったかもしれないのよね」
「そうだな。元さんに感謝しないといけないな。元さんが君を覚えていなかったら俺に連絡くれる事もなかった。やっぱり俺にとっては母親だな、元さんは。ちょっとゴツイけど」
「あっ、酷い。自分の仕事に誇りを持ってる素敵な人だと思ったわよ。マンションの中を案内してくれたあの時」
「そうか。今度、会わせるよ。美人の奥さんにも」
「うん。楽しみにしてる」
注文したお料理が運ばれて来た。
「美味しそう」
「ここの刺身は本当に美味いよ。さっきまで生け簀で泳いでたんだからな。さぁ、食べよう」
「うん。いただきます」
龍哉さんと向かい合って楽しく話しながら食事をしている。こんなに笑顔で色んな話をしてくれる人だなんて思わなかった。人は付き合ってみなければ分からないものなんだと改めて思う。
周りから見れば、私たちは極普通のカップルに見えるのだろうか。
「美味しかった。こんな新鮮なお刺身、久しぶりに食べた気がする」
「うん。良かった、気に入って貰えて。さぁ、行くか?」