赦せないあいつと大人の恋をして
私の中の恋する少女と大人の女
月曜日の朝……。目を覚ますと静かな雨の音が聞こえる。そうでなくても夜明けの遅い季節。外はまだ暗い。
暖房を付けて、またベッドに潜り込む。まだ時間は充分ある。もう少し、まどろんでいたい気分。
龍哉はもう起きたのだろうか? 昨日の龍哉を思い出して胸がきゅんとした。愛されているという確かな気持ちに頬が赤らむ。
きょうは迎えに来られるような事を言っていた。先週は忙し過ぎて大変だったのだろう。仕事も一段落して少し落ち着いたようだ。
今夜も龍哉に会える。それがこんなにも嬉しいなんて……。起き上がって朝食を済ますと身支度を整えて傘を持って部屋を出る。
冷たい雨……。雪に変わるのだろうかなんて考えながら会社へと急ぐ。
昨日までの私と何か違うのだろうか? いつも通りの私のつもりだけれど……。
会社に着いて、お仕事モードに入る。きょうは比較的ゆったりと仕事が進んでいった。副社長も午後からの出社で特別な事は何もない日。
そういえば、副社長の紹介で龍哉と私はお見合いしたんだった。付き合い始めた事を言うべきなんだと思うけれど……。それは龍哉に任せようと思っていた。私は、お見合いの話は断ったのだから。副社長の人を見る目が確かだったという事になるのだろう。
あの時は、龍哉と付き合う事など考えもしなかった。不思議な巡り合わせなんだと思っていた。
仕事が終わり会社を出た。雨はいつの間にか上がったようだ。定時に終わったから龍哉はまだ来ていないだろうななんて考えながら、いつもの歩道を歩いて行くと白いセダンが停まっている。思わず顔がほころぶ。龍哉に会える事がこんなにも嬉しいなんて……。私の中に恋する少女が居るようで少し恥ずかしい。ドアを開けて助手席に乗り込んだ。
「おかえり」と龍哉。
「早かったのね」と言うと
「綾に早く会いたくて頑張って仕事して来た」と笑った。
そんな言葉さえも嬉しい。そして車は動き出した。少しドライブして海辺のレストランで食事。雪に変わらなくて良かった。それでも充分寒いけれど……。龍哉と一緒なら、それほど寒く感じない。私って本当に分かりやすい性格してるのかも……。
海の幸のカルパッチョやソテー、リゾットを美味しくいただいた。 帰り道も夜のドライブを楽しんで、おしゃべり。明日も仕事だし遅くはなれない。平日だから仕方ない。車はマンションを少し通り過ぎて停まった。
「ありがとう。あぁ、上がってお茶でも飲んで行く?」
「いや、止めておくよ。今、部屋で綾と二人きりになったら俺、歯止めが効かなくなりそうだから」
「えっ?」
「綾に負担を掛けたくないんだ」
「…………」
返事が出来なくて俯く私を龍哉は、ぎゅっと抱きしめた。
「綾を傷つけたくない。昨夜だって……。辛かっただろう? 綾は遊び慣れてる女じゃないから、大切に愛していきたいと思ってるんだ」
「それは私が、まだ女性として未熟だって事?」
「そうじゃないよ。充分過ぎるほど魅力的だ。少しずつで良いんだ。無理する事はない」
「私のために我慢してくれてるって事なの?」
「違うよ。俺だって野獣じゃないんだから……。気持ちは繋がっていると信じてる。体がすべてじゃないって事だ。勿論、体の繋がりも大切だけどね。それだけの男だと思われたくないし」
「…………」
龍哉に唇を塞がれた。今までのように、そっと触れるだけの、おやすみのキスとは少し違う。愛されていると感じさせてくれる情熱的なキス……。
龍哉は待ってくれている。会う度に体を求められたら、やっぱり今の私には負担になるのだろう。龍哉と対等に愛し合えるくらい大人の女になりたい。私は心から、そう思っていた。ううん、そう願っていた。
暖房を付けて、またベッドに潜り込む。まだ時間は充分ある。もう少し、まどろんでいたい気分。
龍哉はもう起きたのだろうか? 昨日の龍哉を思い出して胸がきゅんとした。愛されているという確かな気持ちに頬が赤らむ。
きょうは迎えに来られるような事を言っていた。先週は忙し過ぎて大変だったのだろう。仕事も一段落して少し落ち着いたようだ。
今夜も龍哉に会える。それがこんなにも嬉しいなんて……。起き上がって朝食を済ますと身支度を整えて傘を持って部屋を出る。
冷たい雨……。雪に変わるのだろうかなんて考えながら会社へと急ぐ。
昨日までの私と何か違うのだろうか? いつも通りの私のつもりだけれど……。
会社に着いて、お仕事モードに入る。きょうは比較的ゆったりと仕事が進んでいった。副社長も午後からの出社で特別な事は何もない日。
そういえば、副社長の紹介で龍哉と私はお見合いしたんだった。付き合い始めた事を言うべきなんだと思うけれど……。それは龍哉に任せようと思っていた。私は、お見合いの話は断ったのだから。副社長の人を見る目が確かだったという事になるのだろう。
あの時は、龍哉と付き合う事など考えもしなかった。不思議な巡り合わせなんだと思っていた。
仕事が終わり会社を出た。雨はいつの間にか上がったようだ。定時に終わったから龍哉はまだ来ていないだろうななんて考えながら、いつもの歩道を歩いて行くと白いセダンが停まっている。思わず顔がほころぶ。龍哉に会える事がこんなにも嬉しいなんて……。私の中に恋する少女が居るようで少し恥ずかしい。ドアを開けて助手席に乗り込んだ。
「おかえり」と龍哉。
「早かったのね」と言うと
「綾に早く会いたくて頑張って仕事して来た」と笑った。
そんな言葉さえも嬉しい。そして車は動き出した。少しドライブして海辺のレストランで食事。雪に変わらなくて良かった。それでも充分寒いけれど……。龍哉と一緒なら、それほど寒く感じない。私って本当に分かりやすい性格してるのかも……。
海の幸のカルパッチョやソテー、リゾットを美味しくいただいた。 帰り道も夜のドライブを楽しんで、おしゃべり。明日も仕事だし遅くはなれない。平日だから仕方ない。車はマンションを少し通り過ぎて停まった。
「ありがとう。あぁ、上がってお茶でも飲んで行く?」
「いや、止めておくよ。今、部屋で綾と二人きりになったら俺、歯止めが効かなくなりそうだから」
「えっ?」
「綾に負担を掛けたくないんだ」
「…………」
返事が出来なくて俯く私を龍哉は、ぎゅっと抱きしめた。
「綾を傷つけたくない。昨夜だって……。辛かっただろう? 綾は遊び慣れてる女じゃないから、大切に愛していきたいと思ってるんだ」
「それは私が、まだ女性として未熟だって事?」
「そうじゃないよ。充分過ぎるほど魅力的だ。少しずつで良いんだ。無理する事はない」
「私のために我慢してくれてるって事なの?」
「違うよ。俺だって野獣じゃないんだから……。気持ちは繋がっていると信じてる。体がすべてじゃないって事だ。勿論、体の繋がりも大切だけどね。それだけの男だと思われたくないし」
「…………」
龍哉に唇を塞がれた。今までのように、そっと触れるだけの、おやすみのキスとは少し違う。愛されていると感じさせてくれる情熱的なキス……。
龍哉は待ってくれている。会う度に体を求められたら、やっぱり今の私には負担になるのだろう。龍哉と対等に愛し合えるくらい大人の女になりたい。私は心から、そう思っていた。ううん、そう願っていた。