妖しく溺れ、愛を乞え
「……っあ、あう……」

 出し入れされる指は、1本から2本になる。凄い勢いで足の間を湿らせる自分の愛液に、呆れてしまった。

「いやらしいなぁ」

「や……電気」

「今更、もう良いよ」

 だめだ。なんでこんなになるのか。指だけでイッてしまいそうだった。グリグリと奥を探って、弾く。

「ん……もう」

「もう、なに?」

「……んんっ」

 指をぐっと奥深くまで入れられ、背中が仰け反る。

「もう、なに? こんなに締めつけてる理由は」

「あっあっ……もう……や、あ」

 湿った音を立てて指を引き抜くと、また挿入して奥を探られる。快楽が体中を駆け巡った。

「……キ、そう……」

 びくりと体が震えて、その次に恥ずかしさで口を押さえた。

「……っ」

 深雪が至近距離でニヤニヤしている。引き抜いた指を口にくわえて。

「ひとりで。酷いなぁ、雅」

「ご、ごめ……」

 優しい手が、髪を撫でる。額にキスを落とし、深雪も服を脱ぎだした。

 本当に、こうして見ると人間と変わらないのに。生きているのに。

「俺の体、怖いか」

「さっき、ちょっと見たけど……羽」

 真っ黒な羽だった。雪の妖怪に羽などあるのだろうか。

「父方の血なんだ。あんなのが体にあって……迷惑だよ」

 母からの白い雪の血筋と、父の黒い吸血の血。それが深雪に流れる。混ざり合い、共存している。

「黒い呪いでいっぱいだ。吸血から受け継いだ羽は黒い。怖いか。感染してしまうかもしれないぞ」

 そんなことを言いながら、あたしの首、乳房、腹を舐めていく。くすぐったい。そして、あたしはまた血が頭にのぼり始める。

「大丈夫。あたし……黄金血だから」

 ふっと笑う深雪の笑顔は、綺麗だった。

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