妖しく溺れ、愛を乞え
「雅……」

「……っう」

 いやらしく自らダラダラ濡れるくせに、いざ挿入されたら痛みを伴う。痛みと一緒に迎える。進められる深雪の体は、あたしの体では持て余す程だった。

「んん……っ!」

「苦しい? 声出して、我慢しなくていいよ」

「み、ゆき」

 抑えているのに出てしまう声が、とても耳障りで、恥ずかしくて深雪の肩に顔を埋める。きつく抱き締められたかと思うと、揺さぶられる。声を上げると止められる。

「も、う」

「どうして欲しいの。言うんだ」

「……やめ、ないで、お願い……」

 ほとんど無意識に、そう懇願していた。それが深雪の望みの言葉だったかは分からない。綺麗な切れ長の目をすっと細めて、濃厚な口づけをくれた。

「愛しているよ、雅」

 呪いで蝕まれた体に抱かれている。貫かれている。あたしに感染するならすれば良い。それで深雪が助かるなら、救われるなら、それで良い。

 あたしの体でそれが出来るなら。

 今まで感じたことの無い快感が体中を駆けめぐり、感じまくって、あたしの意識は真っ白になった。 


 そして、息苦しいキスで意識を戻される。

「雅、だめだよ。まだ離さないから」

「深雪……」

「好きにして良いんだろう?」

 まだ濁ったままの頭で、一生懸命理性を保とうとした。

 好きにして良いって、そうは言ったけれど。回復力が半端無い。人間じゃない。そうだった、人間じゃないんだった。

 気を抜いていた下半身に、再び熱い塊が打ち付けられる。

「あう……!」

「慣らさなくても良いだろう。こんなに濡れている」

「ちょっと、待って……」

「足りない」

 いま、終わったばかりだというのに、また……? あたしの抗議は受け入れられず、深雪はまた腰を動かし始めた。

「あ……あっ……う」

「まだまだ足りない。もっと、欲しい」

 後戻りできない快楽の波は、あたしを限界点まで一気に押し上げる。自分の名前を呼ぶ声を聞きながら、また体は痙攣した。

「……雅で、いっぱいにしたい」

 ぎちぎちと打ち付けられる熱を、体の奥に感じながら、あたしは再び意識を飛ばした。



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