メシトモ!
① 居酒屋 びーだま
「寒い、美味しい、寒い、美味しい」
体を小刻みに揺らしながら、手の中にある温かいお汁粉をひとりですする。傍から見たら絶対に不思議に見えるだろう。室内で飲めばいいのに、と。
私はこれが好きなんだ。寒い冬空の下、冷気に当たりながら缶のお汁粉をすするのが。
仕事の休憩時間、一階の非常階段の近くにある自動販売機の前で、至福の時間を堪能している。空を見上げると、灰色の厚い雲に覆われていた。そんな空を眺めていると、白いものがふわりと舞い降りてきた。
「雪?」
手を前に出すと、冷たいものが手のひらにほろほろと乗っかる。
「二月だもんね。雪も降るか。寒いはずだわ」
すぐにやんでしまいそうな雪を眺めていると、雪に交じって白いものが降ってきた。同じ白でもサイズが大きすぎる。ゆらゆらと漂うように落ちてくる。
缶を近くのベンチに置き、その白いものを両手で掴んだ。目の前にあるものはウェディングヴェールだった。なんでこんなものが降ってくるのよ。とりあえずヴェールが地面に触れないように、両腕を視線より上に上げた。
体を小刻みに揺らしながら、手の中にある温かいお汁粉をひとりですする。傍から見たら絶対に不思議に見えるだろう。室内で飲めばいいのに、と。
私はこれが好きなんだ。寒い冬空の下、冷気に当たりながら缶のお汁粉をすするのが。
仕事の休憩時間、一階の非常階段の近くにある自動販売機の前で、至福の時間を堪能している。空を見上げると、灰色の厚い雲に覆われていた。そんな空を眺めていると、白いものがふわりと舞い降りてきた。
「雪?」
手を前に出すと、冷たいものが手のひらにほろほろと乗っかる。
「二月だもんね。雪も降るか。寒いはずだわ」
すぐにやんでしまいそうな雪を眺めていると、雪に交じって白いものが降ってきた。同じ白でもサイズが大きすぎる。ゆらゆらと漂うように落ちてくる。
缶を近くのベンチに置き、その白いものを両手で掴んだ。目の前にあるものはウェディングヴェールだった。なんでこんなものが降ってくるのよ。とりあえずヴェールが地面に触れないように、両腕を視線より上に上げた。
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