メシトモ!
「杉山さん、お待たせ」

 居酒屋から出てきた佐々木さんは、私の目の前にハッカ味の飴玉二個を掲げている。

「どうしたの、それ?」

「レジでもらった。お一つどうぞ」

 飴を一つ受け取り、手のひらにのせた。透明のパラフィンに包まれた乳白色の白い飴。両端がねじってあり、大きなリボンのようだった。

「杉山さんはここからは歩きだよね」

「うん」

「じゃあ、気をつけてね」

「佐々木さんも。お休みなさい」

「お休み」

 私は軽く手を振って、佐々木さんに背を向けた。

 私と佐々木さんの別れの挨拶はいつもお休みなさいだ。夕飯を食べるために会っているようなものだから、別れるのはいつも夜。だから自然な挨拶だ。

 でも、またねって言わないから、もう二度と会えないじゃないかと、今日初めて思ってしまった。

 なんでこんなこと考えているんだろう。連絡先知っているんだし、今までだって会えていたでしょ。
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