メシトモ!
 妙に胸がもわもわした。ああ、今日は食べすぎたな。疲れと夏バテで体が弱っているときは脂っこいものは控えないとな、と思いながら蒸し暑い夜風を感じながら歩いた。

 暑い、今年の夏は特に。このままアパートにいると、電気代が高くなりそうな気がして、最近は実家に帰るようにしている。ずるい節約方法だとは思うけれど、これぐらいは大目に見てほしい。

「涼太、胃薬ない?」

「食べすぎ、飲みすぎ。少しは摂生しろよ」

 涼太から渡された薬と水を受け取った。最近、胸のもわもわが取れない。暴飲暴食もしていないのに。

 薬を飲んで、リビングで涼んでいると、なにかを片手に持った涼太がこっちへ来た。

「姉ちゃん、悪いんだけど、この本を幸司さんに返しておいてくれない?」

「なんで私が」

「いや、最近、教習所とバイトとゼミで、幸司さんと予定が合わなくて返せないんだよ。長い間借りたままなのも悪いし、頼むよ」

「わかった。置いといて」

 涼太は「ありがとう」と言って、本を置いた。

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