メシトモ!
 佐々木さんは本と入れ替える形でDVDを出した。

「愛が悼む、作品を見てタイトルの意味をいろいろ考えちゃったよ」

 久しぶりに手元に戻ってきたDVDのパッケージを眺める。主人公の女、その夫、執事、メイド。この中で、誰が一番幸せだったのだろう。一応、作品として納得いく結末だった。

「佐々木さんはこれを見て、サスペンス映画って思いました?」

「うん、不倫愛憎劇が主軸になっているけど、サスペンスだよね」

「私はこれを観終わって、四人ともただ恋をしただけなんだ。そして自分の恋にを追い求めただけだって思ったんだよね。私の中では、この映画はラブストーリーなんだ」

「そうだね。女性ならではの観点だね」

 佐々木さんはウーロン茶を飲み、口を開いた瞬間、お好み焼きが運ばれてきた。

「ああ、来たね。杉山さん、焼く?」

「あの、私こういうことはすごく苦手で、佐々木さんができるならお任せしたいんだけど」

「いいよ、じゃあ僕が作るね」

 器の中で生地をよくかき混ぜて、鉄板の上に盛り上げた。形を整えながら、片面を焼き、ヘラでひっくり返す。
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