メシトモ!
 佐々木さんは散らばったクーポン券をきれいに重ねた。それを見て、靴下も同じようにすればいいのに、と思った。

 とりあえず、自分のお財布を出すために鞄を広げたときに、あるものが目に付いた。

「佐々木さん、これに入れて」

 私が佐々木さんに渡したのはカードサイズくらいの黒いコインケースだ。

「これって」

「実家でちょっと部屋の整理をしていたら出てきたの。使えそうだなと思ったんだけど、使い道も思いつかないまま、数日この鞄の中で眠ってた。二人で行ったお店でもらったクーポン券とかはこれに入れよう。そうすればお互いのお財布内の環境がよくなるよ。ついでにこれも入れておこう」

 自分のお財布から一円玉をあるだけ入れた。

「なんで一円玉?」

「だって、端数が割り切れないときがあるでしょ。そのとき用に」

「いい考えだね」

 佐々木さんは氷で薄くなっているウーロン茶を飲み干した。そしてクーポン券をコインケースへ入れ、佐々木さんも一円玉を数枚入れた。
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