メシトモ!
 これは、なんだかカップルっぽい。いいのかな。私はいいけど、佐々木さんはどうなんだろう。

「佐々木さん、これいいんですか?」

「なにが?」

「いや、あの……、もし彼女とか好きな人とかがいるなら、こういうのはよくないから。私、そこまで考えずに提案しちゃって」

 少し困った顔をして佐々木さんはお財布からお金を出した。

「いないよ、そんな人」

「そっか」

「杉山さんは?」

「私もいない」

「それならお互い問題ないよ」

「そうだね。でもさ、もしどっちかに好きな人なり恋人なりができたら、これはやめよね」

「これってどれ?」

「どれって?」

 いつもの優しい表情はなくて、無表情の佐々木さんが目の前に居た。

「このコインケースのこと? それともこうやってご飯を食べにいくこと?」
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