メシトモ!
スマホのメモ帳を開いて佐々木さんに渡した。
佐々木さんは無言でスマホを受け取った。文字を打ち込み終わると「ごめん」と言って、スマホを返してくれた。
「これでよし。心置きなく好きなだけ飲んでいいよ」
ほっけを一口食べて熱燗飲む。その姿はとても悲しそうだった。
なにがあったのか、理由を聞いて慰めたいと思う気持ちもあるけれど、とても聞ける雰囲気でもない。
私はただ佐々木さんを見守っていた。
次々に運ばれてくる料理を口に運ぶ。ときどき「美味しいね」と声を掛けると、小さな声で「うん」と返ってきた。
「ねえ、杉山さん、今から僕が話すこと今日で忘れるって約束して」
お酒で目元が少し赤くなった佐々木さんが言った。
「わかった」
好きなだけ話せばいいよ。私が全部聞いてあげるから。
「三年前に別れた彼女がいるんだ。別れた理由は彼女が僕の大事なものを奪おうとした。それが許せなかった。僕はそのことを責めた。すると、彼女は言うんだ。あなたのためよって、あなたのためを思ってよって。何度も何度も。僕は一度だってそんなことは望んでいなかった。このままで、今までよかった。充分、幸せだったのに」
佐々木さんは無言でスマホを受け取った。文字を打ち込み終わると「ごめん」と言って、スマホを返してくれた。
「これでよし。心置きなく好きなだけ飲んでいいよ」
ほっけを一口食べて熱燗飲む。その姿はとても悲しそうだった。
なにがあったのか、理由を聞いて慰めたいと思う気持ちもあるけれど、とても聞ける雰囲気でもない。
私はただ佐々木さんを見守っていた。
次々に運ばれてくる料理を口に運ぶ。ときどき「美味しいね」と声を掛けると、小さな声で「うん」と返ってきた。
「ねえ、杉山さん、今から僕が話すこと今日で忘れるって約束して」
お酒で目元が少し赤くなった佐々木さんが言った。
「わかった」
好きなだけ話せばいいよ。私が全部聞いてあげるから。
「三年前に別れた彼女がいるんだ。別れた理由は彼女が僕の大事なものを奪おうとした。それが許せなかった。僕はそのことを責めた。すると、彼女は言うんだ。あなたのためよって、あなたのためを思ってよって。何度も何度も。僕は一度だってそんなことは望んでいなかった。このままで、今までよかった。充分、幸せだったのに」