メシトモ!
「ちょっと待って」

 一端、外に出てスマホでタクシーを呼んだ。それから先にお会計を済ませた。

 タクシーから連絡が来るまで、私は佐々木さんをただ見ていた。十分くらいでタクシーが居酒屋の前に来てくれた。

「佐々木さん、帰ろう」

 肩を叩いても反応がない。まさかと思い、顔を覗き込んでみると眠っていた。

 うそでしょ。私が運ぶのか。

 自分の荷物と佐々木さんの荷物を左手でまとめて持って、自分の肩に佐々木さんの腕を回した。

 さすがに一八〇センチくらいの人を支えるのは難しい。悪戦苦闘していると、見かねた店員さんが手を貸してくれて、なんとかタクシーに乗ることができた。

 佐々木さんの家の住所を伝えると、タクシーが動き出す。

 あ、佐々木さんのシートベルト。

 腕をぐっと伸ばして、無理やり佐々木さんの体にシートベルトを巻きつけた。それから自分もシートベルを締めた。

 はあ、疲れた。本当に疲れた。私は明日休みだけど、佐々木さんはどうなんだろう。前にフレックスタイムで仕事をしているって言っていたから、遅くても大丈夫なのかな。

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