メシトモ!
 タクシーは十五分ほどで佐々木さんの家の前に着いた。

 精算をしてから、佐々木さんを起こすために体を揺らした。

「佐々木さん、起きてください」

「うん。ここどこ?」

 薄目を開けた佐々木さんは、周りを見回している。

「佐々木さんの家の前ですよ。ほら降りて」

 佐々木さんのシートベルトを外し、腕を両手で引っ張った。のろのろとしながらも自力でタクシーから降りてくれて助かった。

 よろよろする体を支えながら、エレベータに乗った。

「杉山さん、ごめんね」

「気にしないでいいから」

 肩に掛けている腕が落ちそうになり、態勢を持ち直してからエレベータを降りた。

「佐々木さん、鍵は?」

「ああ、これ」

 ポケットから取り出した鍵を受け取って、ドアを開けた。
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