メシトモ!
「ほら、靴脱いで」

 ううんと唸りながら、靴を脱ぎ捨てた佐々木さんは自力で数歩進んで立ち止った。

「気持ち悪いの?」

 背中を軽く擦ってあげると「大丈夫」と言って歩き出した。

 佐々木さんが転ばないように体を支えた。

 並んである二つのドアの前で立ち止まり、左側のドアを開けようとしている。何度もドアノブを掴もうとしても掴むことができない。焦点が定まってないんだろう。

 代わりに私がドアを開けると、そこは寝室だった。

 佐々木さんがおぼつかない足取りで歩き、支えていた私の足も絡んでしまい、二人で一緒にベッドへ勢いよく倒れてしまった。

「うわあ!」

 私の上に佐々木さんが覆いかぶさるような状態になってしまい、必死にもがいて体を離そうとしても離れなかった。

「佐々木さん、ちょっとどいて。重いですよ!」

 全く動かない佐々木さんの腕を押し退けようとしたときだった。長い腕が私の背中に回った。
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