メシトモ!
 佐々木さんはスケッチブックに細かいことをメモしていた。そして手に持っていたものを全てテーブルの上に置いた。どうやら全部終わったらしい。

「杉山さん、申し訳ないんだけど、写真を撮ってもいいかな。顔は映らないから」

「うん、いいよ」

 佐々木さんは棚からデジタルカメラを取り出し、まち針を打った場所を取り始めた。

「ごめん、杉山さん。これで顔を隠してくれる。どうやっても顔がうつっちゃうんだ」

 杉山さんから渡されたコピー用紙の束を顔の前に置き、佐々木さんの撮影が終わるまでその状況をキープした。

「ありがとう、助かったよ」

 佐々木さんは私の髪の毛に留っているヘアピンを慎重に抜いた。

「あ、今ちょっと髪の毛を引っ張っちゃったかな」

「ううん」

「よし、取れた。これでモデルは終了。すごく助かったよ」

「お役に立てて光栄です」

 佐々木さんはテーブルの上を軽く片付け、私たち出会いのきっかけになったヴェールを持った。
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