メシトモ!
「せっかくだから、これ着けてみる?」

「いいの?」

「うん」

 さっきと同じように後ろからヴェールを被せ、前に回りヘアピンで軽く留めてくれた。

「すごくきれいだよ」

 佐々木さんはパイプハンガーの裏に置いてあった、姿見を持ってきてくれた。

 鏡を見て、きれいとは思えなかった。やっぱり普通のワンピースとヴェールでは、どうしようもない。

「全然、きれいじゃないよ。ヴェールがすごくきれいなだけ」

 そう言うと佐々木さんは後ろから抱き締めてきた。

 鏡には戸惑っている自分と、私の肩に顔を埋めて腕を回す佐々木さんの姿が映っている。

「佐々木さん、ヴェールが皺になっちゃうよ」

「大丈夫だよ、こういう素材はそんなに皺にならないから」

「そういう問題じゃないでしょ」

 こんなの保留できないじゃない。自分の気持ちを自覚してしまうじゃない。
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