メシトモ！
　あの日のような悲しい表情はなく、古いアルバムを懐かしむような表情をしていた。

「僕はずっと自分を否定していた。もっと他にいい解決方法はあったんじゃないか。彼女を孤独に追い込まずに済んだんじゃないかって。でも、恋愛は一人でするものではなくて、君と僕、私とあなた、二人でするものなんだよね。だから、きっと僕も彼女もどっちも間違っていて、どっちも正しかったんじゃないかって思うんだ、今は。これからは前向きに人と付き合っていきたい」

「そうっか。よかった、佐々木さんの笑顔になって」

「これは杉山さんのおかげだよ。君に出会ってから、良いことや楽しいことが増えた。いや、そうじゃないな。普通のことも楽しく思えるようなったし。嫌なことも前向きに考えられるようになったのかな」

　コーヒーを一口飲んで、カップをソーサーに戻した。少し噎せそうになったけれど、ぐっとこらえた。

「私は話をただ聞いただけだよ。それで一緒にご飯を食べてただけだよ」

「それがよかったんだ。ただ聞いてくれたから、自問自答できたんだよ。本当にありがとう。僕はこれからも杉山さんとこうやって一緒にいたいと思っているから」

　最後の一言はどう捉えればいいのだろう。友情ですか、愛情ですか。聞けばいい話だけど怖くて聞けない。友情でもせつないけど、愛情なら不安になる。
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