メシトモ!
 やっと過去の恋から脱却したのに、次の恋愛相手が私でいいのだろうか。もっと優しくて、女性らしい人と付き合ったほうが佐々木さんは幸せでなないだろうか。

 そう思ってしまうと、なにも言えず曖昧な笑顔を作ってしまった。

「杉山さんは、クリスマスって仕事だよね」

「うん。クリスマスディナーの給仕を毎年やっているから、今年もそうだと思う」

「そうだよね、ホテルだと一番の稼ぎ時だよね」

「でも、なんでクリスマスの予定を?」

「いや、もし空いているなら、どこか食事でも行きたいなと思ったから」

 クリスマスに食事。さっきの言葉は愛情と取るべきなのかな。

「ありがとう、せっかく誘ってくれたのに。こういうことがホテルスタッフの短期間恋愛を誘発させるんだよね」

「そっか。世の中のイベントに連動して仕事するから」

「うん、しょうがないよ。そういうのは覚悟の上でこの仕事を選んだから」

 自虐的なことを言ってしまった。馬鹿みたい。私は恋愛に向いていませんと自分から言っているのだから。
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