メシトモ!
「今から寝るところだった」

『あ、ごめん。ねえ、今月の滅多にない休日を教えて』

「え?」

『いいから、いいから』

 よくわからないが加絵に促されるままに、手帳を見ながら休みを伝えた。

『よかった。来週の木曜日の午前中、私も休みなの。ねえ、ちょっとその日、付き合ってくれない?』

「どこに?」

『うん? 美術館』

「珍しいね、美術館なんて」

『ちょっと見たいものがあるのよ。事前予約したいんだけどいい?』

「いいよ」

『ありがとう。場所はメールするから。お休み』

「わかった。お休み」

 もう一度スマホを充電器にはめ、ベッドにもぐり込んだ。

 加絵の誘いで来た美術館。いや、美術館じゃない。指定された場所はビルの中にある展示ギャラリーだった。予約制のくせに、なぜか小さな列ができていた。
< 192 / 235 >

この作品をシェア

pagetop