メシトモ!
「あの、手伝うとは」

「ゴールデンウィークに催されるウェディングショーがあります。それはワンドリンク付きで見るファッションショーで、そのドリンクのサービスに入ってくれませんか」

「はい、わかりました」

「それではお願いします」

 大友さんは書類になにかを書き込むと、スタッフルームを出て行った。相変わらず、隙のない人だなと思った。

 大友さんは私が新人で入る前からマネージャーをやっている。雑談も多少はするけれど、根本は仕事の話のみで、プライベートが謎の人だ。背も高くて、足も長く、制服がすごく似合う人。ストレートの黒髪をきっちりまとめている。クールビューティーなんて言葉が世の中にはあるけれど、大友さんのために存在している言葉じゃないかと思う。

「杉山、ブライダルの方に借り出されるんだ」

 缶コーヒーを飲みながら話しかけてきたのは、私の新人教育をしてくれた近藤さんだ。

「はい」

「杉山も成長したよな。他で借り出されるようになるとは。先輩は嬉しいよ」

「ええ、近藤さんの素晴らしいご指導ご鞭撻におかげです」

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