メシトモ!
 店内を見回すと窓側の席に座って、本を片手に蛍光ペンを持つ加絵を見つけた。

「加絵、お待たせ」

「あ、宏実」

 本の背を指で軽く押しタイトルを読み上げた。

「人とのコミュニケーション~トラブルに強くなる話術~」

 加絵は自分が読んでいたページを私に見せた。そのページはケンカの仲裁方法がケース別に書かれている。

「大変だね、ケンカを治めるのって」

「うん。仕事は好きだけど、ケンカの仲裁だけは今も苦手。もっと上手く仲裁ができるようになりたいよ」

「私も酔っ払いのつまらない戯言を上手くかわせるようになりたい」

 お互い悩みは尽きないねとアイコンタクトをして、メニューを手に取った。

「今日も割り勘でいいよね」

 加絵がメニューを見ながら言った。

「うん、人も結構多いし、個人会計だと迷惑でしょ」

「なに頼む? 二人でつっつくのも頼もうよ」と、加絵はサラダやフライ関係が載っているページをこっちに見せてきた。

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