メシトモ!
 そして私も二人に倣って、メモを冷蔵庫に貼ってみた。

『お父さんへ

早起きようと思ってたんだけど睡魔に負けた。また顔出すね。

冷蔵庫のビールは私のオススメ。飲んでね。

涼太へ

ビールはお父さんのために買ったけど、お父さんから許可をもらえば飲んでよし。

朝ごはん、ありがとう。美味しかった。

  宏実』

 ゆっくり歩きながらアパートへと帰った。梅雨入りした空は今にも泣きだしそうで、傘を持っていない私には曇り空があと三十分くらい持ってほしいと思う。

 アパートまであと数メートルというところで、雨がザッと降り始めた。小走りでアパートのエントランスへ向かった。

 部屋に入り、服も髪も濡れてしまったので、いつもより早めのお風呂にした。

 撮り貯めていた映画やドラマを観ながら、デリバリーのピザを食べているとスマホが鳴った。

 映画が佳境にさしかかっていて、画面を見ずに「はい、杉山です」と出てしまった。私の勘では涼太だと踏んでいたからだ。

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