未知の世界3
私は全て幸治さんに話したのに、それでも、やっぱり診察を受ける気にはなれなかった。
進藤先生にソファに横になるようにと何度も言われたけど、私は断固として動かない。
幸治さんがそばにきて、私の肩を抑えようとする。
「かな!いい加減にしろ!進藤先生がここまでしてくれてるんだぞ!」
そんなこと、頼んだ訳じゃないのに!
「なんで素直に受けないんだ!」
私は幸治さんと進藤先生にハメられた気で、さっきからイライラしていた。
うまく話を持っていかれている自分が嫌でたまらなかった。
「いいの!!!!こんな体、どうにでもなってもいいの!」
と言った瞬間、
バシッ!!!!!!
と私は左の頬を強く叩かれた。
「やっ!!!!!嫌ぁぁああああああ!!!!!」
私は過去の辛い記憶が一気に蘇ってきた。
暴力を振るわれる毎日だったあの頃を。
気づけば、両手を頭の上でガードして、体操座りになって体を震わせて、涙をいっぱい流して泣いていた。
「やめて、やめてやめて!!!!!ごめんなさい!ごめんなさい!!!!ごめんなさい!!」
何度も何度も謝った。
すると、全身を抱きしめられた。
「かな、ごめんっ!大丈夫だから。落ち着いて。」
と幸治さんの声がするけど、もう私の頭の中はパニックになって、抱きしめられたことも過去の記憶を思いだし、怖くて怖くて胸が張り裂けそうで、必死になって体を振って、幸治さんの体を押した。
数日前に、幸治さんに抱きしめられて、安心感を覚えていたのに、その時は、もうそんな風に思えなくなっていた。
「いやっ!いやっ!来ないで!!!!!」
私は、ソファにあるクッションを手に取り、幸治さんと進藤先生のいる方へ投げるつけていた。