未知の世界3
あれから眠れなかった。
私は、朝がくる前に体調が良くなっていた。
腕の点滴は、夜中に看護師さんがきて、外してくれた。
氷枕をどける。
部屋も廊下も幸い真っ暗。
静かに廊下に出る。
誰もいない。
緊急用の出入口には警備員さんがいたけど、私服の私では、患者さんには見られなかった。
病院を出て、行くところもなくさ迷い続けた。
来たことのない街。
河川敷沿いを歩く。
陽が上り、辺りが明るくなる。
一晩寝ただけでは体は回復していない。
何時間歩いたんだろう。
太陽はほぼ真上にきている。
もう限界。
何のために医学部に通っていたのかもわからない。
最初から、強い意志があって入った医学部じゃない。
でも、医療には興味があった。
やっぱり興味だけじゃ医者にはなれないのかな。
そんなことを考えて歩いていた。
「おいっ、かな?」
聞いたことのある声。
誰だろうと、顔を上げる。