未知の世界3
~医局では~
佐藤先生のマンションから、佐藤先生が呼んだ救急車でかなを運ぶこととなった。
かなは意識を失い、そのまま病院で無事に処置をすることができた。
コーヒーを片手に持った進藤先生が、
「なんとか処置できたけど、彼女、以前入院していた時に戻っちゃったんじゃない?」
と佐藤先生に聞く。
「はい、そうです。
診察も治療も拒んだので、手首と足首にはバンドをつけていました。
さっきのように暴れて、部屋をめちゃくちゃにした時もありました。
このままだと、検査もできない気がします。
はぁ。僕がいけないんです。」
と佐藤先生が肩を落とす。
「佐藤先生、君のせいじゃないよ。
彼女はいろんなものからストレスがかかってた。
きっと、それらがたまりにたまって吐き出し、あんなことを言ってしまい、君に叩かれたことで、過去をフラッシュバックしてしまったんだ。
今こうならなくとも、いつかはまたなっていたことだと思う。
彼女は今まで、何か自分の中で感情を抑えながら、殻にこもって生活してきたんだと思う。
少なくとも、君と生活してきた二年間は、それもうまくコントロールできていたと思うよ。
むしろ、医者になってからこうなるよりも、学生のうちでよかった。
僕たちの目の前でこうなったから、まだよかったんじゃないかな?」
と佐藤先生を慰める進藤先生。
「ありがとうございます。そう言っていただけるだけで、気持ちが楽になります。」
「いや、これから大変だ。頑張ろうね。」
「はい。」